掲載日 : [2003-07-02] 照会数 : 2686
ハンセン病への偏見、差別の解消願って(03.7.2)
[ 「患者専用警察留置所」を示す金さん ]
入場者11万人突破…「資料館」開設から10年
在日同胞が「語り部」役
ハンセン病へのいわれなき偏見と差別の解消を願って財団法人藤楓協会が国立療養所多磨全生園内に建てた「高松宮記念ハンセン病資料館」(東京都東村山市)が6月25日、開館から満10周年を迎えた。入館者は累計で11万人を突破した。
同資料館は2階建て。床面積1600平方㍍で1階は図書資料室、映像室、ビデオコーナー。2階にはらい菌に対する基礎的な理解を深めるための各種パネルと資料、元患者が療養所で実際に使用した日常生活用品や雑居部屋の模型など1150点余りを展示している。
なかでも目を引くのは「らい予防法」に基づく強制隔離と人権侵害の実態を示す資料。狭くて身を横たえることもできない鉄格子入りの「患者専用警察留置所」などはその最たるもの。療養所からの外出は禁止だった。病人としてではなく、あたかも犯罪者のごとく処遇されていたことがわかる。結婚する条件として男性には断種、女性には優生(避妊)手術も行われていた。こうした国の誤った方策がハンセン病に対する偏見や差別を助長してきた。
入館者は当初、年間8000人前後だったが、「らい予防法」が廃止された96年から1万人ペースに乗った。これは当時の厚相が予防法の見直しが遅れたことを陳謝したことも影響したようだ。01年に「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟で原告勝訴の判決が熊本地裁で示されてからは団体観覧も増え、入館者は年間1万5000人前後に上っている。
同資料は、多磨全生園に入所している元患者で在日同胞の金相権さん(74)らが90年から3年間、全国15カ所の療養所を回って集めた。金さんは資料館の事務局運営委員として団体客を相手に「語り部」の役割も果たしている。
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厚労省 施設の機能拡充へ
ハンセン病が治癒しても、元患者の多くは故郷の墓に埋葬してもらえないという。その家族も結婚や就職を拒まれるなど想像を絶する偏見と差別を体験してきた。
これは国の隔離政策などで「怖い病気」という誤ったイメージがすっかり定着してしまったためだ。
日本厚生労働省ではハンセン病患者に対する差別や偏見を解消し名誉回復を図るため、02年5月から「ハンセン病資料館施設整備等検討懇談会」をスタートさせた。
メンバー7人の中には金さんが元患者の代表として委員に入っている。懇談会で意見を聞いた厚労省では、既存資料館を生かしながらもさらに機能を充実させた第2資料館を全生園内に建設していくことを計画している。基本計画は04年度中にまとめる方針だ。
(2003.7.2 民団新聞)