掲載日 : [2004-02-25] 照会数 : 2936
老いの花満開 ドキュメンタリー映画「花はんめ」完成(04.2.25)
在日2世が製作
【神奈川】川崎市南部の同胞多住地で老後をたくましく生きる在日1世ハルモニの姿をありのまま映像に記録したヒューマンドキュメンタリー「花はんめ」(金聖雄監督、同製作・上映委員会)が完成した。解放前後にまたがる過酷な人生遍歴を経て「いまがいちばん幸せ」と語るお年寄りたち。老いの花はいまようやく満開の時期を迎えている。
タイトルは花を髪に刺して踊るハルモニ(おばあちゃん)の姿をイメージしている。人生の大半を過ごしたハルモニたちが、ここにきてようやく〞青春〟を取り戻していく姿を在日2世の金監督は忠実にカメラに記録してきた。
主要な舞台となったのは桜本の路地裏にある小さなアパート。8畳の1部屋で暮らす孫分玉ハルモニを頼ってハルモニたちが集い、ひとときを過ごす。過去を語っては涙し、笑ったり、歌い踊るハルモニたちの姿がありのままに描かれる。
ハルモニたちが想像できないほどの苦労を重ねてきたことは、過去を振り返る話で理解できる。金監督が「夢はなんですか」と質問すると、あるハルモニは「夢なんかないよ。ただ踊って、笑って…いまが夢のようだよ…」と笑顔で話す。
「花はんめ」の映画化は、金監督自身が大阪で母親を亡くしたことも伏線となっている。母親が日本という舞台で確かに生きたというあかしを残しておきたいと生前、折に触れてカメラを回していた矢先の死だった。
間もなく上京した金監督は、川崎で在日同胞高齢者の交流する「トラヂの会」と出会い、ハルモニたちの姿に亡き母親の姿を重ね合わせた。
それからはことあるごとに川崎に足を運んだ。4年間、ハルモニたちと時間を共にして撮影したフィルムは約80時間分に及んだ。
80歳を過ぎたハルモニたちが50年ぶりに水着を着てプールで大はしゃぎする様子をとらえた映像からは金監督のハルモニへの温かいまなざしが伝わってくるかのようだ。
金監督は「映画に登場するハルモニの中には徴用で連れてこられた人もいる。数々の修羅場をくぐってきた人でしか表現しえないたくましさと言動に胸を打たれた。ハルモニたちと共に過ごした4年間は私にとってとても魅力的だった」と語っている。
映画は100分。近々全国で上映運動を展開していく予定。
(2004.2.25 民団新聞)