掲載日 : [2004-07-28] 照会数 : 3651
漢字混じり絵本が人気 〞漢字離れ〟に歯止めか(04.7.28)
ハングル一辺倒の韓国で、一見60年代のような漢字混じりの絵本(カット)が人気を博している。クンナ出版が発売した「漢字でもう一度読む名作」シリーズの「イソップ物語」「タルムード」「不思議の国のアリス」「星の王子さま」の4冊がそれだ。本文中にはハングルの読み仮名もついていない。
「イソップ物語」は今月5日に発売されたばかりにもかかわらず、韓国最大規模の書店・教保文庫の小学生向け書籍ランキングで2位を獲得。口コミだけで1日に15冊は売れるという。
オウルブックが販売する漫画タッチの子ども向け漢字学習帳「魔法千字文・漢字練習帳」の売れ行きも好調だ。
1446年に世宗大王が庶民のために創案した「訓民正音(ハングル)」の恩恵によって、韓国の識字率は非常に高いとされている。
しかし、古来から漢字に親しんできたはずなのに、現在は漢字識字率が非常に低い。
母音と子音の構造さえ理解すれば、誰にでも簡単に駆使することができるハングルに比べ漢字は難解であり、48年に制定された「韓国語はハングルだけで表記、ただし必要な場合は漢字を併用する」という「ハングル専用に関する法律」や70年代の朴正煕政権時代の漢字教育の撤廃運動、近年の「ハングルサランハギ運動」などによって、漢字離れは急速に進んだ。
ソウル大・理系学生の約6割が「大韓民国」を漢字で書けないという事態や自分の名前以外は「山」、「川」程度の漢字しか理解できない20〜30代の存在はその結果とみられている。
SBSが行った電話世論調査の結果では、漢字併用を望む声はわずか31%に過ぎず、政府は現行の法律条文を全てハングルにするため、現在特別措置法を準備している。
普段使われる言葉の7割が漢字由来語とされ、同音異義語が膨大に存在する韓国で、ただでさえ難解な法曹用語をハングルのみで表記した場合、どのような混乱を招くのか。
古い歴史書を紐解くことさえ不可能になってしまうだろう。冷静になって考えてみようとの声も強い。
実際のところ、「漢字でもう一度読む名作」シリーズや「魔法千字文」のヒットの理由には、北京五輪開催に向けて目覚ましい経済発展を遂げている中国への関心が高まり、子どもに幼少期から漢字を慣れ親しませようという親が増えていることが挙げられる。
日帝時代に奪われた母国語の純化へのこだわりや、世宗大王が創りだしたハングルを愛することは素晴らしいとしても、それ以前に漢字を使用し構築されてきた古きよき韓国の伝統が失われ、自国の歴史書も読めないという矛盾した事態が起きているとの指摘は重い。
それぞれの思惑はともかく、漢字離れの抑止力に、これら絵本が果たす役割は意外と大きいかもしれない。
(2004.7.28 民団新聞)