掲載日 : [2005-07-13] 照会数 : 3710
【読書…Books②】
ことばと文化の日韓比較…説得力のある生活体験談
齊藤明美著(世界思想社1900円+税 ℡075(721)6506)
「異文化は自分の鏡」と言われる。
韓日双方の文化は共通点が多いが、そこに一歩踏み入れば、思いもかけない違いに出くわす。韓国に興味を抱き実際に訪れ、いわゆる「異同感」にとまどいを覚えた人は少なくないだろう。
著者は現在、ドラマ「冬のソナタ」の舞台となった春川市の翰林大学教授職にあり、韓国で日本語を教えてから10数年になる。じかに暮らし、体験する中で感じた45のエピソードを通じて、韓日両言語の微妙な差異を浮き彫りにしている。
「ことばと言語行動」と「日韓の文化」の2部構成。謙譲を尊ぶ日本人に対し、ストレートに表現する韓国人との違いは種々の表現に見ることができる。
例えば、日本の敬語は、自分の内と外いずれの人かによって使い分けるが、韓国の場合、使い分けはしない。
韓国の最大の魅力は「ケンチャナヨ」と、著者は指摘する。もともと「大丈夫」の意で、少々のことは寛大に見てくれるという思いやりだ。それが日本人にルーズに映ることもあるが、韓国人の情の厚さ、絆を大切にする思いに心打たれたことはしばしばだったという。
韓流現象で韓国と出会い、もう少し知りたい人には格好の書で、巻末索引は大いに助けになろう。
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韓国およめいり…カルチャーショック超え
阿部美穂子著(ワニブックス1200円+税 ℡03(5449)2711)
出会いとは不思議なものだ、と痛感させられる。NHKのフランス語会話のオーディションを受けたのに、ひょんなことからハングル講座の生徒になり、1年間韓国語を覚えることになった。
講座の卒業試験は、韓国代表のサッカー選手へのインタビュー。彼の魅力に惹かれ、恋焦がれ、ついには嫁いで韓国で暮らすようになった。偶然の出会いが必然に、運命が宿命になったのである。
本書は日本人タレントとして、今も韓日間を行き来している著者が、似ているようで異なる韓国での日常生活を、カルチャーショックの連続にめげずにまとめたエッセイである。
儒教に根付いた祭祀(チェサ)をはじめとした伝統的しきたりの複雑なこと、親族の呼び名の多さ、日本的感覚ではなかなか理解できないことが、当たり前のように迫ってくる。それを新妻としてこなさなくてはならない。まして「パリパリ(早く早く)」が体質化されている韓国である。やまとなでしこのプレッシャーも容易に想像できる。
日本の新聞にショートエッセーを掲載したり、テレビ出演などで活躍している多忙の身で大丈夫かな、と読みながら心配になった。
が、そこはホットでワイルドな韓国人がきちんと支えてくれるのである。泣き笑いの1年が満載の一冊、一読を。
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北朝鮮「楽園」の残骸…写真集が物語る北韓の今
マイク・ブラツケ著(草思社1800円+税 ℡03(3470)6565)
著者は北韓を知りすぎたことで知られる医師、ノルベルト・フォラツェンも所属していたドイツのNGO、カップ・アナムーアの技術援助ボランティアを行っていた。本書はその著者が、北韓各地を訪問した時のレポートをまとめた写真集である。
「ある東独青年がみた真実」という副題が示すとおり、高校生になるまで共産党のプロパガンダに浸り、信じ込んでいた彼こそ、いま北韓を最もよく理解できる外国人に違いない。
99年3月からの41カ月の間に病院、学校、農場など数多くの公共機関を訪れ、さまざまな階層の生活を垣間見て、淡々と現状を記した報告は実に分かり易く的確である。テレビのワイドショーのような誇張もなく、声高なメッセージもない。
しかし、ここには北韓の真の日常がある。171枚の貴重な写真を掲載した同書は、北韓の今を記した最も信頼できる記録と言える。
著者は6月23日に民団を訪問し、在日の置かれている現状に理解を示した。特に、脱北者支援センターの活動を高く評価した。
「私はいつも日本が演じる役割と、ドイツ再統一に果たしたフランスの役割とを比較して考える。日本は歴史と存在に基づく、大きな義務を負っている」という言葉に重みがある。
(2005.07.13 民団新聞)