掲載日 : [2006-01-25] 照会数 : 4209
読書…Books
[ (左)食わず嫌いの韓国、(中)紳士淑女にパチンコを、(右)白磁の人 ]
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食わず嫌いの韓国 韓国ドラマ もっと楽しめる
(喜著 グラフ社 1300円+税 ℡03(3409)4610)
副題に「ドラマに探る『現代韓国と韓国人』」とあるように、韓流に象徴される映画やドラマの場面を通して、韓国人の心理や行動を読み解く一冊。著者は東京大学などで韓国語を教える在日歴15年の講師で、日本の事情にも詳しく、韓日比較文化論として読んでもおもしろい。
在日や日本人の感覚からすると、韓国ドラマにはしばしば理解できない展開が準備してある。恋愛ドラマで例をあげると、「交通事故」「病気」「記憶喪失」「貧富の差」「留学」などである。本書では、なぜそのようなテーマが、これでもかというくらいに散りばめられているかをやさしく解説する。
交通事故は現実に日本の5・8倍という発生率の高さを反映したものであり、貧富の差の克服は、人一倍上昇志向の強い民族性の裏返しなのだという。傷心の末に、時が解決するとばかりに決意する留学も、就職難の韓国でエリート街道に進むための重要なアイテムだという現実がベースにあるのだという。
笑ってしまったのが「B型の彼氏」という映画以降、ある農協の「O型B型だけ応募を。他の血液型の人は遂行能力が欠けているので応募を慎んで」という嘘のような広告が物議をかもしたという一件。抗議ですぐに撤回されたが、白黒つけたがる韓国人の一面を見る気がした。
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紳士淑女にパチンコを 感動を与えるサービスとは
(熊澤修著、ロコモーションパブリッシング 1300円+税 ℡03(6222)5871)
最もポピュラーな大人の遊びと言えば、パチンコの右に出るものはないだろう。在日の基幹産業でもあり、いまや30兆円という巨大産業へと成長してきた。
本書の主テーマは、大手パチンコ・チェーンで10年間、人事担当だった著者が語るサービス業としての顧客サービスの変革で、自身の体験をもとに書いている。
まったくパチンコ業界とは縁がなかった著者は、電機メーカーを退職後、初めて手にした就職情報誌で業界の門をたたいた。面接担当の本部長の紳士的な態度と押しの強さに魅せられ、業界入りすることを決めた。
ところが、90年代半ば当時の業界は、ダーティーな雰囲気が濃厚だった。そこに持ち込んだのが、「健全なサービス」という考え方とその実践であった。従業員の反発はあったものの、店の稼働率向上が有無を言わせない形をつくっていった。
パチンコ業界を含むサービス業全般について、顧客の立場に立った「感動を与えるサービス」のために、顧客と向き合う5分間に全神経を集中し、何を望んでいるのかを察して対応していけば活路は見出せると提唱。人間の情緒を基本に、相手を思いやる気持で接することは、パチンコのみならず他の業界にも通用するコミュニケーションの作法だと強調する。
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白磁の人 伝統美みつけた浅川の生涯
(江宮隆之著 河出文庫 500円+税 ℡03(3404)1201)
植民地化の朝鮮で、民衆的工芸(民芸)の中に朝鮮の民族文化の美を見つけ出した日本人林業技手がいた。浅川巧である。彼の墓はソウル郊外の共同墓地にある。墓の傍らの碑文には「韓国が好きで、韓国人を愛し、韓国の山と民芸に身を捧げた日本人、ここに韓国の土となれり」と刻まれている。巧への人々の愛情の深さが伝わってくる。
日本ではなじみの薄い浅川巧とは、一体どういう人物なのか。そのことを知ろうとする著者の旅が始まった。
巧は先に朝鮮に渡っていた美術教師の兄、伯教を通して、李朝白磁の美しさを聞いていた。訪朝の動機も見たことのない白磁の美への好奇心だった。1914年当時、すでに高麗青磁は評価が高かったが、白磁は二束三文の価値しか与えられていなかった。
その白磁を「美しく本当に温かみのある人肌のような焼き物」と絶賛し、そのような焼き物文化をもつ朝鮮に「来てよかった。好きになれそうだ」との思いを抱いた。
禿山になった朝鮮の山に緑を戻す仕事に就いた巧は、あちこちで支配者日本人の横暴さを見聞するようになった。その非人間性に抗う巧は、常に民衆の側でありたいと願い、自ら朝鮮語を覚え始めた。本書は人間浅川巧の生涯を描いた作品であり、植民地時代にもこういう日本人がいたという事実の顕彰でもある。
(2006.1.25 民団新聞)