掲載日 : [2007-03-14] 照会数 : 10642
食文化を伝える担い手に 「在日人生の証し」…横濱茶花咲
[ 宮廷料理では欠かせない九節板をはじめカルビチム、豆腐チョンゴル、手作りキムチの数々などが並ぶ宮廷料理の一部 ]
[ オーナーの李英淑さん。コースではチマ・チョゴリ姿で接待もしている ]
宮廷料理 日本に定着を洗練の味
近年、日本で関心を集めている韓国の宮廷料理。ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」では、彩りよく盛りつけられた数々の料理が並んだ王の食膳の場面を心待ちにしていた視聴者も少なくなかった。宮廷料理は古代中国の陰陽5行説に基づく5味〈甘味、辛味、酸味、苦味、塩味〉5色〈赤、青(緑)、黄、白、黒〉と、5法〈焼く、煮る、蒸す、炒める、生〉の料理方法も取り入れたバランスのよい食べ物だ。現在の韓国料理の土台を築いたといわれる宮廷料理を日本で伝えるために、在日同胞の女性たちが頑張っている。
横浜と大阪 頑張る同胞
昨年5月、横浜中華街に宮廷料理が味わえる店「横濱茶花咲」(よこはまちゃっかしょう)がオープンした。在日韓国人3世のオーナー、李英淑さん(37)がこだわるのは「心を込めた料理」だ。予約が入ると3日間は店に泊まり込んで仕込みにかかる。納得がいかなければ作り直す。
化学調味料は一切使わず、素材の味わいを大事にする。韓国で手に入る調味料は買い付けに行くほどだ。その味の評判は口コミで広がりをみせている。だが日本ではまだ、一般の韓国料理ほどに宮廷料理は定着しておらず、洗練された味が逆に、美味しくないと思っている人たちも多い。「日本にはまだ、宮廷料理を食べる食文化が根付いていないと思う。そこをどうアレンジするかが自分の持ち味です」
広島県出身。結婚後に通った百貨店主催の料理教室がきっけとなり、講師に迎え入れられ韓国料理を教えた。当時、韓国料理に関する資料を読みあさり、料理の奥深さを知るようになっていく。そのころ偶然目にしたのが、宮廷料理の第一人者で人間国宝の故黄慧性さんの著書だった。「いつかここで勉強したい」という思いを叶えたのは4年前。黄さんの研究院であったソウルの「宮中飲食研究所」で、伝統的な調理法などを学んだ時のことである。
「先生たちも一生懸命に宮廷料理を作る。生徒たちもすごい情熱で授業を受けている。宮廷料理というのはこうして人から人へ伝わり、大事にされてきたという気持ちに感動し、心を込めて精一杯作ることが何よりも大事だという、その心を学んだ」
李さんのこだわりは料理だけにではなく、設計から関わったという店内のつくりが随所にも見られる。
「この店が隠れ家のようになって、心も体も癒していただければ」と話す。「韓国の食文化の素晴らしさを伝えていく担い手になれれば、在日として生まれてきた自分の人生の意味がある」との思いを秘めながら、韓国の素晴らしい食文化を残していきたいと張り切っている。
予約制。韓国家庭料理5800円、宮廷料理と家庭料理8800円、宮廷料理フルコース1万4800円。営業17時半〜21時。不定休。
横浜市中区山下町214。問い合わせは同店(℡045・222・1368)。
(2007.3.14 民団新聞)