掲載日 : [2007-04-25] 照会数 : 4152
<読書>韓国郷愁の物語 激動の時代を綴るエッセイ
国際ジャーナリストとして活躍する著者が、03〜05年度のNHKラジオ「アン二ョンハシム二カ〜ハングル講座」のテキストに連載されたエッセイをまとめた。
収録された34編のストーリーは、全作韓国人の物語。韓国では解放後、60年の間に南北分断の悲劇を味わい、次いで韓国戦争、軍事政権、光州事態など、波瀾万丈の時代が押し寄せた。だが、そのほとんどは日本では詳細が知らされずにきた。
著者は「韓国人が激動の時代をどのように生きてきたのか。彼らの苦しみは何なのか、希望、悲しみは…を書きたかった」という。著者自らの体験を綴った作品も少なくない。
韓国戦争直後、著者の住んでいた町で起こった実話をもとにした「ヨーンシク!オーンシク!」は、韓国戦争勃発後、離れ離れになった息子を探す老父の話だ。子の身の上を案ずるがむしゃらな父親の姿を通して、親子の愛情の深さを改めて感じ取ることができる。
このほか今までの韓国の価値観と、儒教社会の変化にともなう体験を書いた「A先生の恋」「義姉の駆け落ち」をはじめ、80年代の民主化運動のルポルタージュ、著者が民俗や仏教の物語を韓国の伝統文化として書いた作品など、その時代を生きた韓国人たちの姿が浮き彫りになる。
(池官著、日本放送出版協会1300円+税)
℡048(480)4030
(2007.4.25 民団新聞)