掲載日 : [2007-06-13] 照会数 : 4093
闇から光へ 指紋強制と闘った法廷記録
在日外国人の「公正な管理」を目的とした外国人登録法(外登法)が、今年で施行60年を迎えた。
外登法の根幹を成すのが、人権侵害との悪名高い指紋押捺制度と「犬の鑑札」と酷評された登録証の常時携帯制度であった。
本書は外登法を同化政策と位置づけ、指紋押捺を拒否、89年に裁判によって法改正を求めた日系3世のロン・フジヨシさんの闘いの記録である。証言台に立った在日同胞と弁論を引き受けた弁護士から、「人権と人道に時効はない」と背中を押されて出版に踏み切った。
91年の韓日協議の合意によって、指紋制度は永住権者からは撤廃された。常時携帯制度は、外国人とわかるたびに提示を求められた80年代当時に比べ緩和された。とはいえ、不法滞在の取り締まりという大義名分のもと、疑わしい者を片っ端から職務質問し、登録証の提示を求めているという声も聞く。
大事なことは、かつて法の名のもとに強制された痛みを、今日を生きる在日の若い世代と日本人がきちんと受けとめ、より開かれた日本社会の実現につなげていくために負の歴史を風化させないことだと本書は言う。
権力側の職権乱用と外国人憎悪を恣意的に刷り込もうとする世相の中、タイムリーに出された1冊だ。
(申英子・熊野勝之著、社会評論社1800円+税)
℡03(3814)3861
(2007.6.13 民団新聞)