掲載日 : [2007-07-04] 照会数 : 3927
<読書>復刻 戦ふ朝鮮
植民地支配の歴史風化に警鐘
本書の原本は1945年6月15日、朝日新聞社から刊行されている。同年6月は米軍が沖縄を制圧し、日本は本土決戦をも辞さない決死の時期であった。だが、8月6日の広島、同9日の長崎への原爆投下によって完膚なきまでに戦意が喪失させられ、天皇の「終戦の詔書」放送によって、日本の敗戦は決定づけられた。まさに激動を絵に描いたようなさなかにあった。
その時期、植民地支配下にあった韓半島はどのように位置づけられていたのか。
最後の朝鮮総督・阿部信行(陸軍大将)は、「大東亜戦争完遂に朝鮮が負荷する使命感達成上、最も必要なことは朝鮮に対する理解及び認識である」として、日本国内の各界各層に向けて呼びかけている。その一環として出されたのが本書である。復刻版の編者も言うように、もともと植民地支配礼賛の本である。
しかし、なぜ60年以上も経過したこの時期に復刻版を世に問うのか。そこが大事な点である。
それは、世代交代とともに歴史が風化することへの警鐘にほかならない。
元朝日新聞記者の編者が5年もの時間をかけた復刻作業だが、5年前と言えば02年、北の当局者が日本人拉致を認め、北韓に対する世論が硬化した年である。日本を覆う空気は、60余年前とどれほど違うのか、問題提起の一冊。
(宮田浩人編・解説、新幹社4500円+税)
℡03(5689)4070
(2007.7.4 民団新聞)