掲載日 : [2007-07-04] 照会数 : 4913
<読書>釜山できく元在日の詩
証言にみる未来志向の韓日関係
帝国主義日本による植民地時代に、強制連行などで日本居住を余儀なくされた同胞らは、日本の敗戦にともない、その多くが希望をもって帰国の途についた。
しかし、解放の喜びを抱いて故郷に戻った彼らを待ち受けていたのは、言葉が通じないという現実だった。ほどなくして韓国戦争が勃発する。未曾有の混乱にまみれたことは想像にかたくない。
本書は、そのような時代を生き抜いてきた元在日同胞16人の「痛み」を、写真と証言でつづったものである。
きっかけは、著者が2年5カ月をかけて川崎市の「ふれあい館」運営の高齢者交流クラブ「トラヂの会」に通い、同市在住の1世を撮影、その写真を釜山で開かれた写真展で公開した際に、かつて在日だった同胞が来場、彼らの人生を聞く機会に恵まれたというもの。
「韓日は過去のことより未来を考えて仲良くやってほしい」と語った男性は、九州の炭鉱で働き続けた過去をもつ。「人生でよかったことは仕事、辛かったことは失職したこと」。働くことしかなかった世代が共通して思う心情は、副題の「日本も私のふるさとです」であろうか。
著者には小学館発行の『チマ・チョゴリの詩がきこえる』のほか、在日韓人歴史資料館に川崎の高齢同胞70人の肖像画を提供している。
(菊池和子著、かもがわ出版1600円+税)
℡075(432)2868
(2007.7.4 民団新聞)