掲載日 : [2007-07-19] 照会数 : 4226
<読書>愛するとき奇跡は創られる 真実の歴史を訴える語り部
高麗博物館の館長を務める在日2世の著者が、両親と自身、わが子にいたる3代の生き様を語った一冊。
2歳で父を亡くし、残された母は6人の子どもたちを育てるためにリヤカーを引いてボロ買いを始めた。差別など知らなかった幼い頃には自慢の母だったが、小学校に入学するや貧困と在日であることがからかいの標的にされ、朝鮮人に生んだ母を憎悪した。低学年の時に、すでに自殺することばかり考えるようになった。
指紋押捺の強制と登録証の常時携帯に「犬の鑑札」を連想したものの、なすすべがなかった14歳の時、授業で「朝鮮征伐」が出て来た。好きだった教師は、植民地支配されて当然のように朝鮮を貶めた。戦後10年が経過していたが、意識がそのまま残っていた時代だった。中学卒業後は働きに出たが、在日であることを隠し続けて職を転々とし、日本に「帰化」こそが救いだと思いつめた。
そのような劣等感の塊だった著者が変わったのは、多くの人との出会いによって、韓日間の真の歴史と在日するにいたった経緯を知ったからだという。「教育の本質は、嘘、偽りのない真実の歴史と文化を伝えることにある」。この言葉は、自身の命を呪ってきた著者が、たどりついた結論であり、ひとり芝居に打ち込む原点でもある。
(語り宋富子、三一書房1900円+税)
℡03(3812)3134
(2007.7.18 民団新聞)