掲載日 : [2007-12-05] 照会数 : 3968
<読書>日本から「北」に帰った人の物語 いまだ終わらぬ国家的犯罪
在日2世として生まれた著者は1960年の春、17歳の時に「帰国」し、05年に脱出するまでの45年間を北韓で暮らした。日本に戻って来たのは、「帰国者」の無念を必ず晴らす、そのすさまじい一念からであった。
いわゆる北送事業(総連では「帰国事業」)で北に渡った同胞や日本人配偶者が、「地上の楽園」と信じた国で、どのように亡くなったのかを直接見聞きし、小説の形で筆を進めている。
「共和国」に行きさえすれば、理由もなく「チョーセン」と蔑まされなくてもすむ。着の身着のままで船にさえ乗れば、後は「共和国」がすべてを保障してくれる。「帰国」同胞が抱いた大きな期待と希望は、清津港に着いてほどなく裏切られた。
1300人の引率団長だったシンは、自分だけ特別待遇されていることに罪悪感を感じていた。到着後、人民委員会の局長に任命されたものの、8人家族を襲ったのは信じられないほどの食糧難だった。
ある日、子どもたちがガムのように噛んでいたものが、コールタールだとわかった瞬間、彼の生を支えてきたものがすべて壊れた。脳溢血だった。3日後、45歳で帰らぬ人となった。
在日を厄介払いした日本と虫けらのように扱った北の国家的犯罪は、いまだ終わっていない。
(韓錫圭著、新幹社2000円+税)
℡03(5689)4070
(2007.12.5 民団新聞)