掲載日 : [2007-12-05] 照会数 : 4395
<読書>ディアスポラとしてのコリアン 居住国における貢献と課題
日本、米国、中国、中央アジア(旧ソ連)の4つの国・地域に住む在外韓国人の居住国における貢献と課題を、米研究者が掘り下げた。ディアスポラとは、元々ギリシャ語で「追い散らす」を意味し、転じて自発的・非自発的を問わず、祖国を離れて暮らす人々を指す。
在日の場合、1世のすべてが日本に強制連行された訳ではないが、植民地から宗主国へと移住したことが集団としての起源になっている。しかし、日本は韓国から受けた文化的影響も1世の渡航史にも向き合うどころか、「日本は単一民族国家である」との虚構のもと、根深い文化的偏見と民族差別的な扱いをした。
また、祖国分断と韓国戦争が、帰国断念と在日社会の亀裂を決定的にさせ、日本永住が前提となるしかなかった。
だが、1世主導の在日社会は祖国をめぐる政治に関わるものが主流であり、発刊当時の『季刊三千里』を具体例として挙げている。同誌は在日2世の台頭とともに、日立就職差別や指紋拒否などを取り上げるようになったが、軸足を「在日」に置くまでに時間がかかりすぎたと指摘する。
作品の中心に「民族」をすえてきたそれまでの作家とは違い、女性作家の李良枝が登場したことで、在日社会にもジェンダーの問題をはじめ多様性が生まれたとの分析も興味深い。
(高全惠星監修、新幹社4500円+税)
℡03(5689)4070
(2007.12.5 民団新聞)