掲載日 : [2008-03-12] 照会数 : 4519
<読書>ラブホテル進化論 多目的空間が今風ラブホ!?
本紙エッセーコーナーに寄稿している女子大学院生、金益見さんの堂々のデビュー作である。
大学の卒論に本書のタイトルになったラブホテル進化論をテーマにしたことも衝撃だったが、持ち前の行動力で関係者に次々とインタビューを続ける中で人脈を広げ、ついにはその道の研究者になるべく大学院に進んだと知り、脱帽した。
「女子大生がラブホテル」と聞くと、世間は好奇の目を向ける。事実、スポーツ紙が取り上げて以降、週刊誌などからの取材依頼が殺到した。セクハラまがいの発言をずいぶんと聞いた。それでもめげなかったのは、「ラブホテルは日本の文化だ」との確信があったからである。
かつてうさぎ小屋と酷評された日本の住宅事情が生んだ愛の営み用の「連れ込み」からモーテルの時代を経て、カラオケやゲームなど客のニーズに合った多目的空間を利用するといった現代までの変遷を、建築デザイナーなどの証言を元に構成している。シティホテルとの境界があいまいになったラブホ業界では、おいしい料理を武器に客層を開拓しようとしている、と読んで目からうろこが落ちた。
デビュー作は在日を売りにしたり、テーマにしたくなかったと言い切る79年生まれの新世代の今後の活躍に、大いに期待したい。
(金益見著、文春新書730円+税)
℡03(3265)1211
(2008.3.12 民団新聞)