掲載日 : [2008-03-12] 照会数 : 4793
<読書>禁じられた歌 朝鮮半島音楽百年史…流行歌の謎解き
<読書>禁じられた歌−朝鮮半島音楽百年史…韓日で流行した歌の謎解き
時代に翻弄され、時の統治者から歌うことすら禁止されながら韓国と日本を隔てる海峡と国境を超え、庶民をとらえて離さなかった大衆歌謡の数々。記者の視点から「歌探し」の旅を続け、歌に秘められたドラマを解き明かした。
日本の歌を公の前で歌うのは御法度だった軍事政権下の韓国。当時は「禁止」以前の問題だったという。にもかかわらず歌詞の意味さえ理解していなかった「ブルー・ライト横浜」がなぜ、韓国人の心をとらえたのか。著者は当時の海賊版を手に入れ、音源に吹き込んだ著名な歌手を探すなどして謎解きに挑む。音楽家の立場から導き出した回答には一定の説得力がある。
一方、日本では77年、李成愛が「カスマプゲ」でデビューし、話題を呼んだ。韓国人が本名で、しかもチマ・チョゴリの正装で日本のステージに立ち、喝采を博したのは彼女が初めてだった。作者は芸能界から引退した李成愛を韓国に訪ね、「なぜ彼女だけ成功したのか」を考察している。衆人の好奇のまなざしにさらされながら、開きなおって朝鮮学校に通学してきただけに、作者の目には李成愛の姿がまぶしかったようだ。
このほか「アリラン」、「カスバの女」、「黄色いシャツ」など、たくさんの歌を丹念に取材している。いい音楽は国境を越えるという言葉にうなずかせられる。
(田月仙著、中公新書ラクレ820円+税)
℡03(3563)1431
(2008.3.12 民団新聞)