掲載日 : [2008-05-14] 照会数 : 3875
<読書>アメリカからの八通の手紙 韓日中の言語を在日の目で
70年代に東京で大学生活を送り、卒業後に渡米して以来30年以上アメリカで生活してきた在日2世が、漢字文化圏でない生活環境に身を置いて初めて和製漢字のすばらしさに気づかされた。旺盛な好奇心は漢字の語源を様々な語学辞典に求める書生生活に導き、その時々の新しい発見が、東京の友人に手紙を書き送り続ける動機になった。中国、韓国、日本の言語事情をまとめたのが本書である。
きっかけは司馬遼太郎の『街道をゆく』だった。江戸末期に西洋文明が流入した日本は、誰もが新しい概念を理解できるようにするために、莫大な量の新しい和製漢字語を創り出した。一例を挙げれば、デモクラシーという言葉に民主という造語を当てたが、それら和製漢字語が本家の中国に逆輸入され、韓国でも使われている現状に、日本の独創性が際立っていると評価を下す。
また、外国語の名称や地名、IT関連の外来語をすべて漢字で表記するしかない中国語の限界と、医学などの専門用語の表記をギリシャ語源に求めるあまり、英語を母語とする人にも全く理解されない米国の現状を比較。日本では外来語をカタカナに、専門用語を表意文字の漢字に意訳したことで無理なく一般にも普及し、ひいては国民全体の教育水準向上につながったと指摘する。
(John Kanai著、東洋出版1600円+税)
℡03(5261)1004
(2008.5.14 民団新聞)