掲載日 : [2008-10-01] 照会数 : 7896
<歴史資料館>「歴史が新鮮」好評の大阪展
[ 若い人たちも大勢訪れている大阪特別展の会場 ]
自分史発掘へ意欲を刺激
【大阪】在日韓人歴史資料館(東京都港区南麻布、韓国中央会館内)が所蔵する史・資料を展示した「大阪特別展−−在日100年の歴史を後世へ」が同館の開設3周年を記念して9月17日から5日まで大阪人権博物館(リバティ大阪、大阪市浪速区)で開かれている。関西地区での新たな史・資料の掘り起こしにつなげたいと、大阪人権博物館と共催した。移動展開催は初めて。
貴重な遺品の寄贈も
展示品は写真などのパネル100点と、生活用具や史・資料などを合わせて500点。これは同資料館の常設展示品の約9割に相当する。今回の移動展示に合わせて地元ゆかりの史・資料も加えて「特別展示室」で紹介されている。
なかでも元プロ野球選手の張勲さんのユニホームを展示したコーナーや、兵庫県伊丹市中村区で在日同胞が経営していた焼き肉店の古びた看板などが来場者の注目を集めていた。
民団大阪府本部の金漢翔団長は、「大阪での展示はテーマ別にまとまっているため、見やすく新鮮な印象を受けた。多くの人に見学を呼びかけていきたい」と話していた。呉榮煥駐大阪総領事は「在日が時代を誇り高く生き抜いてきた確かな足どりが見て取れる」と感心した表情だった。
史・資料の寄贈者もすでに4人出ている。泉北郡忠岡町在住の尹富義さんは、63年発行の「旅行証明書」と、父親の遺品である植民地当時の保健証書を持参した。「旅行証明書」は、尹さんが国交回復以前の韓国に4泊5日の日程で研修に行くにあたって、当時の駐日代表部から発給を受けたもの。尹さんは「これがあったので今まで民族の心を大切に生きてこられた」と言う。
21日、会場で記念講演した姜徳相館長は、「大阪でも多くの人に来てもらい、資料館の存在を知らせるという当初の目的の一つは達成できそう。寄贈品を受ける件は、これからに期待したい。東京でも資料が思うように集まらず、見切り発車でオープンしたのが、約1年過ぎてから写真、図書、生活用具などが続々集まりだした。大阪でも期待している」と述べた。
17日のオープニングセレモニーには、民団中央本部から鄭進団長や金昌植監察委員長らが駆けつけた。会期最終日の5日には、京都大学の水野直樹教授と鄭早苗大谷大学教授による記念セミナーが予定されている。問い合わせは大阪人権博物館(℡06・6561・7173)。
来館者は9月28日までに1320人(9日間累計)を数えた。
(2008.10.1 民団新聞)