掲載日 : [2008-11-06] 照会数 : 13871
京都国際高野球留学生 プロ入りの夢実現
[ 級友から祝福される申成鉉さん(右) ]
広島が指名 民族学校で初
【京都】韓国から京都国際学園京都国際高等学校に野球留学している申成鉉選手(18)が10月30日、プロ野球新人選択会議(ドラフト)で広島球団から4位指名を受けた。民族学校からのプロ野球選手誕生はこれが初めて。学校関係者は野球部創部10年目の快挙に沸き立った。申選手は野球部の小牧憲継監督とがっちり握手を交わし、「うれしい、ただうれしい」と繰り返した。
創部10年目にして快挙
韓国からの野球留学生がドラフトで指名を受けたのは申選手が初めて。すでに関西国際大学への進学が決まっていたが、小牧監督の勧めもあり、9月15日に広島の入団テストを受けて53人中ただ一人合格していた。同球団のスカウトは、「鍛えたら、それほど時間がかからないで、すごい選手になると思う」と絶賛している。
ただし、正式に入団できるかどうかはこの日のドラフトの結果待ちだった。指名を受けるや真っ先にソウル市の自宅で待つ父親の鉉昇さん(46)に報告した。鉉昇さんは「日本語の勉強にもなり、野球以外でも視野を広げられる」と成鉉さんの留学を後押しした。
入学当初は日本語ができず、練習の厳しさに教室に隠れていたこともあった。だが、1年生の秋から4番を任されるや、3年間で通算30本塁打をマークした。真っ先に申選手の素質を見いだした小牧監督は「大柄だけど柔軟性もあるので、鍛えたらものすごく伸びると思っていた。入学したときは投手だったが、強肩でなんでも器用にこなせるので、内野手として育成した」と語った。
同じ留学生の鄭圭植君(18)は「練習の後でも素振りを欠かさない。誰にも負けたくないという気持ちが強かった」と振り返る。チームメートで寮長の広山兼士君(18)も「申君と同じ部屋でしたが、毎日、夜中1時までバットを振って練習する努力家でした」と証言した。
申選手は「プロ入りは子どものころからの夢。母国では巨人の李承選手、日本の野球選手では西武の中嶋裕之選手が目標。誰よりも頑張って早く1軍に上がりたい」と誓いを新たにしていた。
河東吉校長は、京都の甲子園出場校をさしおいてのドラフト指名に「こんなにうれしいことはないです。後輩のよき模範になってもらいたい」と期待をかけている。
京都国際高校は今夏の全国高校野球選手権京都大会で5年ぶりに8強進出を果した。現在3年生の部員6人は申選手以外、全員大学に進む。来年には新たに19人の入部が予定されている。
プロフィール
シン・ソンヒョン 90年10月19日、ソウル生まれ。小4から捕手として野球を始め、トクス中では投手兼外野手。広島のプロテストでは遠くへ飛ばす打撃力、イレギュラーバウンドに素早く反応する守備力など将来性が高く評価された。183㌢、83㌔、右投右打。
(2008.11.5 民団新聞)