掲載日 : [2008-11-13] 照会数 : 4344
永住者の「年金」除外は〞規約違反〟
永住者の「年金」除外は〞規約違反〟
国連専門委…日本政府に改善勧告
人権の国際基準で日本の状況をチェックする国連の規約人権委員会による5年に1度の審議の結果が、このほど日本の複数のNGOを通じて明らかとなった。外国人の権利に関しては、年金問題など、主に5点にわたって最終見解とそれに基づく改善勧告がなされた。勧告を受けて日本のNGO「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」は5日、「その内容は極めて具体的であり、実現可能性が高い」とするアピール文を発表した。
国連規約人権委員会による審議は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第40条に基づく措置。規約締約国である日本は5年ごとに同規約の国内実施状況に関する報告書を国連事務総長に提出し、自由権規約の実施機関である規約人権委員会の公開審議にかけられる。今回が第5回目の審査だった。
◆第5回報告書で最終見解
日本政府による第5回報告書は06年12月に提出された。審議は10月15、16の両日、ジュネーブで各国の専門委員18人立ち会いのもとで行われ、10月28、29日の会議で最終見解が採択された。
複数のNGO関係者によれば、18人の委員からは、「98年の第4回勧告からなんら改善措置がとられていない」と、厳しい指摘が相次いだという。永住外国人の年金問題についても第4回審議で複数の委員が異議を唱えたが、日本政府代表は、「憲法25条が定める社会保障が在日外国人に平等に適用されない」という従来の主張を繰り返し、建設的な議論にはならなかった経緯がある。
今回の最終見解では、国民年金法の年齢要件によって永住外国籍住民が年金制度から除外されることがないよう、暫定的な措置をとるべきだと勧告した。このほか、国の補助金の増加、寄付者への財政的優遇措置による韓国・朝鮮人学校への適切な財政支援、朝鮮人学校卒業者への大学入学資格の自動的な付与、難民申請者を拷問や虐待の恐れのある国への送還を禁じる明示的な規程の設置などを求めている。
ただし、規約人権委員会が最終見解で日本の国内法が「規約違反」だと指摘しても、法的な拘束力はないとされる。日本政府も、「規約の解釈権限は第一次的には締約国が有する」との立場を取ってきた。カウンターレポートを通じて国連の各委員に働きかけてきた各NGOは近く、この最終見解をもとに合同の省庁交渉を予定している。
(2008.11.12 民団新聞)