掲載日 : [2009-01-14] 照会数 : 4751
李明博大統領の新年演説(要旨)
確固たる未来戦略で経済危機克服に総力
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4大国政運営方向
◇非常経済◇温かい民生◇一流国家◇未来に準備◇
尊敬する国民の皆様!
この世界的な経済危機の始まりをどの国も、どこの誰もが正確に予測できなかったように、いつ終わるのかということも、今すぐには誰も断定できないのが現状です。
世界の貿易規模が縮小しており、米国、欧州、日本が全てマイナス成長に陥ったのは、第2次世界大戦後、初めてのことです。この危機をどれだけ早く終わらせるかは、もちろん私たちがどうするかにかかっていますが、世界が互いにいかに協力するかも、やはりとても重要です。
強力な国際協調を通じて皆が一緒に通貨の流動性を十分に供給し、ともに財政支出を大幅に拡大し、構造調整を断行し、市場の種火を再び灯すことができれば、今年下半期から少しずつ良くなると展望されます。私は、このような肯定的な展望が現実になるよう最善を尽くすつもりです。
しかし、私たちの力だけではこの危機を脱することはできません。そこで、金融危機が起きるやいなや、政府は国際協調に総力をあげました。その結果、300億㌦の韓米通貨スワップを実現させ、多くの専門家が難しいだろうと予測した韓日間300億㌦、韓中間300億㌦の通貨スワップの締結に成功しました。
こうして追加で確保した外貨枠は1100億㌦を突破しました。今や国際社会で韓国の金融危機を懸念する声はなくなりました。しかし、国際協調が進められている今でも、水面下では、世界各国の熾烈な競争が繰り広げられています。
私は、わが両親たちが困難な貧しさの中でも、未来のために節約しながら子どもの教育に力を入れたように、現在の危機を克服すると同時に、危機後の未来にも備えることが正しい国家戦略だと考えます。
こうした観点から、私は新年に〈2009年国政運営の4大基本方向〉を提示したいと思います。第1に、「非常経済政府」を構築し、経済危機の克服に邁進します。第2に、国民生活にきちんと目を向けた温かな国政を展開します。第3に、先進一流国家に向けた改革を中断することなく推進します。第4に、グリーン成長と未来への準備に一層力を入れます。
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最優先の雇用創出
個人企業の積極支援も
愛する国民の皆様!
危機を前に躊躇していては、何もできません。今は、代案もなく非難だけしたり、傍観している時ではなく、積極的に力を合わせるべき時です。希望と勇気を持ち、経済危機の早期克服のため、総力体制を構築していかなければなりません。
そのような意味から、2009年の李明博政府は「非常経済政府」体制を推進します。これに適合した国政刷新も継続断行していきます。毎日の経済状況を点検し、対策を立てて実践するのに、1分1秒も疎かにはできません。
なによりもまず、市場に資金が回るようにしなければなりません。政府は銀行に20兆ウォン以上を支援しており、今後も銀行が企業と家計に対する貸出を円滑にできるようあらゆる措置を取るつもりです。
「信用保証基金」と「技術保証基金」の資金を増やし、中小企業に対する支援も11兆ウォン以上、拡大していくつもりです。特に、中小企業を支援する過程で生じる問題については、事後責任を免除する制度を直ちに施行します。
投資の活性化には必死に対処します。危機の時に投資すれば、少ない費用で大きな効果をあげることができます。投資拡大のために、減税や規制緩和、サービス産業の先進化に拍車をかけます。経済界と力を合わせ、投資が増えるようにします。外国人投資の誘致に私自ら取り組んでいきます。
内需拡大のためにできることを全て行うつもりです。上半期に予算執行を60%以上実現させ、その恩恵が地方や中小企業に優先的にいくようにします。
新年の経済運営で「雇用」ほど重要なものはありません。雇用を維持し、雇用を創出するためには、あらゆる分野で多角的な取り組みが必要です。
昨年末、私は、新年には青年の雇用が大変不足する状況になるため、政府が率先して青年の働ける機会を作ろうと呼びかけました。全部署がともに取り組み、まず7万人の青年インターンの場を提供しました。社会に進出する青年らにとって良い経験になるはずであり、将来、より良き就職口を見いだすのにとても役立つことでしょう。
多様な国際経験をさせる研修や就業プログラム「グローバル青年リーダー」、米国で18カ月間働きながら学ぶ「WEST事業」も始まります。とりわけ、低所得者層に恩恵がいくよう細心の配慮をしました。
青年の皆様、現在、政府が運営しているウェブサイト(www.work.go.kr)を一度ご覧ください。政府が進める多様なプログラムを詳細に見ることができます。青年の真正な精神は、失敗を恐れない勇気と大胆なチャレンジ精神だと言えましょう。今こそ、青年諸君が青年たる精神を発揮すべき時です。
政府は、中小企業が雇用を維持し、創出することを積極的に支援します。清州のあるプレス工場は、労働者を解雇する代わりに休職処理をする方法で雇用を守っています。このような場合、政府は労働者賃金の最高4分の3までを支援するつもりです。また、中小企業が青年の未就業者をインターンとして雇用する場合にも、賃金の半分について責任を持ちます。
経済が困難になり、自営業者がどんどん減りつつあります。政府は、アイデアと創意的サービスで勝負する個人企業を積極的に支援します。コチュジャン作りの上手なハルモニが事業家に変身することもありうるでしょう。
雇用を維持するうえで、労使和合ほど重要なものはありません。他の国々と違い、雇用を分けあいながら解雇を自制してきた韓国企業、賃金の削減を甘受しながら労使協力した労働組合に対して、皆で拍手を送りましょう。
この危機を、国家競争力を落としめる対立的な労使文化を改める契機にしましょう。とりわけ大企業は、自発的に経営を透明化することで、労働者や市民社会から信頼を得なければなりません。このような自己革新の努力を前提に、政府は市場に適合した政策を打ち出していきます。
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グリーン成長計画
環境関連を発展動力に
尊敬する国民の皆様!
成長段階にある子供たちが、将来どんな国に住むかは、まさに今、私たちが何をするかにかかっています。危機を口実にして、21世紀の地球環境時代と超高齢化社会に備えた未来の準備を疎かにすれば、それこそ次の世代に膨大な負担となるでしょう。昨年、私がグリーン成長のビジョンを提示したのもこのような理由からです。
グリーン成長は、私たちがめざすべき道だけに、今こそ本格的な行動を起こすべき時です。政府は、グリーン技術産業、先端融合産業、そして高付加価値サービス産業の3大分野で、新成長たるエンジンを掘り起こすつもりです。
「グリーン・ニューディール政策」も、本格的にスタートさせます。太陽光や風力、燃料電池など、新再生エネルギーのオリジナル技術開発に力を注ぐと同時に、建物や交通のエネルギー効率化事業、廃資源活用事業は今年から早速、大々的に展開していきます。このため、大統領直属の「グリーン成長委員会」を発足させ、「グリーン成長基本法」も制定します。
4大河川の活性化は、災害予防と気候変動への対応、環境保全、水量確保及び水質改善、観光レジャー産業の振興など、さまざまな効果をもたらす事業です。
これにより約28万人の雇用が創出されます。同じ金額を投資した場合、製造業よりも2倍以上の雇用創出が可能です。同時に4大河川流域に環境公園を造成し、全国各地をサイクリングロードで連結するなどアウトドア文化を根付かせます。
IT強国・大韓民国の長所を生かし、放送通信や新素材、ロボット、バイオ、食品にいたるまで、融合新産業を新たな成長エンジンとして稼働させます。同時に、医療や観光、教育、金融などの高付加価値サービス産業を戦略産業として育成し、良質の雇用と国富創出の源泉にするつもりです。
◆グリーン・ニューディール事業に50兆ウォン
韓国政府は6日、景気浮揚を狙った総額50兆ウォン規模の環境対策「グリーン・ニューディール事業」を策定した。4大河川(漢江、洛東江、錦江、栄山江)を整備する土木工事のほか、エコカーの普及や太陽熱などの再生可能エネルギーの開発を推進。4年間で96万人の雇用創出を見込んでいる。韓昇洙総理は雇用機会の拡大を目指し、地球温暖化防止や環境関連ビジネスを「新たな国家戦略」と位置付けた。
◆今年は「ICK」 韓国経済を高評価
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)12月31日付は、「経済発展新興国のブリックス(BRICs=ブラジル、ロシア、インド、中国)に代わり、今後はICK(インド、中国、韓国)が浮上するだろう」と見通した。ブラジルとロシアの市場が先行き不透明なのに対し、韓国はしっかりした実績が予想されると評価。米格付け大手スタンダード&プアーズは、今年の収益増加率をインドが12%で最も高く、韓国が10・3%、中国が7・8%と予測した。米証券大手モルガン・スタンレーも報告書で、「韓国企業などの1株当たり純利益(EPS)はアジアで最も高い水準で伸びるだろう」と明らかにした。
(2009.1.14 民団新聞)