掲載日 : [2009-01-28] 照会数 : 4605
<寄稿>世界人権宣言60周年大会を終えて
先進統一教育センター代表・都希侖
北韓人権運動の底辺拡大に一役
全世界が人間の最も基本的な権利である「人権」に対する保障を約束し、宣布してから60周年(08年12月10日)。これを記念し、北韓人権問題に取り組む団体は、世界最悪の人権死角地帯に置かれている北韓の実情について韓国国民をはじめ全世界に知らせようと「世界人権宣言60周年大会本部」を構成して、昨年12月8日から14日まで北韓人権週間を宣布して多様な行事を企画した。
太陽政策の反省
国内では初めての北韓人権デジタル映像写真展では、みる人びとが理解しやすいようにデジタル装備を活用した映像に、これまで公開されたことがない北韓の収容施設、麻薬栽培の現場や麻薬製造工場など、生々しい実状を動画で紹介した。
また、過去10年間の対北政策は太陽政策という美名のもと、天文学的な国民の血税が投入されたにもかかわらず、肝心な人道的支援の対象である北韓住民の人権とひもじさはまったく改善されなかった。このため今回の北韓人権セミナーの事前行事では、人道的対北支援事業の新しいモデルとして民族の未来である北韓の子どもたちに冬服類などを直接伝達する「北韓子どもたちの冬すごし」支援運動が本格的に展開されていることを知らせ、さらに李明博政府の「非核・開放・3000」政策の持つ意味と北韓人権とのつながりを見つめるセミナーを国内外の専門家らが多数参加して行われた。
もう一つ、この間社会的に忘れた存在になってしまった69年12月11日の江陵発ソウル行きの大韓航空機拉致事件を、汎国民運動として浮き彫りにする必要があると判断して実施したドキュメンタリー試写会では、予想を上回る内外言論メディアの関心を集め、未だに拉致されたままの11人の家族らの苦痛を国民に伝えることができた。地下鉄駅の野外公演場で開かれたミニコンサートでは、ボランティアで参加したミュージカル俳優とミュージシャンが直接作詞作曲した歌と音楽を通じて生命の大切さと北韓の子どもたちに対する温かい支援を呼びかけた。
広がる運動底辺
これまでの北韓人権運動は、人権関連団体と脱北者、拉北者など利害関係を持っている団体に限られていた。今回の60周年大会では、その間、一般的な市民運動の領域として役割分担していた市民団体が自発的に参加することで、北韓人権運動の底辺を広げると同時に、左右の理念的物差しを超える事実そのものとしての北韓人権問題を市民的視点で直接見て、感じて、行動するように一歩近づくことができた。
国際社会に、北韓住民の人権改善こそ地球村の共同の責務である同時に、共生繁栄の鍵であることを知らせ感じさせる持続的かつ多様な活動が行われるべきだろう。事実としての北韓人権問題が理念を超えた普遍的価値として地球村の至る所に伝わるように、より多くの知恵を集め共感を形成していくことを期待している。
(2009.1.28 民団新聞)