掲載日 : [2009-02-18] 照会数 : 8827
全国で3機関長候補合同演説会
[ 8日に大阪府本部で行われた3機関長立候補者合同演説会 ]
今後3年で活路を
大会を団結力誇示の場に
中央選挙管理委員会は6日から14日にかけ、第51回定期中央大会(23日)に向けた合同演説会を全国6会場で行った。3機関長とも単独候補となった今回は、どの会場でも、各候補者による所信表明のほか活発な質疑応答が行われ、さらには3候補者によって、ざっくばらんに意見を交換する懇親会も設けられた。選挙なしの異例な展開にもかかわらず、各会場とも出足は良好で、岐路に立つ在日同胞社会の帰趨を決するのは、今後3年の民団のあり方にかかっているとの強い問題意識をにじませた。
「民団をどうする」 視線も熱く
どの演説会場も、中央委員・代議員のほか選挙人も目立つなど、予想以上の参加率を見せた。地方協議会会長の開会辞、選挙管理委員長のあいさつ、団長、議長、監察委員長の各立候補者の所信表明、質疑応答、懇親会の順で進んだ。
各地協会長は開会辞で一様に、今後の3年が民団の命運を決する重要な時期であることを説くとともに、候補者の所信を聞き、また対話することでよりよい民団、よりよい在日社会建設の糧にしていこうと訴え、大会にはこぞって参加するよう呼びかけた。
選挙管理委員会の金宰淑委員長は「単独候補となったことで、選挙に振り回されることなく、民団の将来を真剣に考える機会となった。候補者はもちろん、中央委員・代議員の責任はむしろ重大だ。問題意識を共有しながら、団結と力を誇示する大会にして行こう」と、一貫して力説した。
所信表明で鄭進団長候補は、「5・17事態によって民団は瓦解の危機に瀕し、内外の信頼を失い、物心両面で手ひどい打撃を受けた。自分も中央団長として、口惜しい思いを重ねた」と率直に語りかけ、「その屈辱感をバネに、自分の人生の総決算のつもりで今後の3年に粉骨砕身する覚悟だ。特に、自立財政の確立を中心に、未来に対応する民団づくりに集中する。スクラムをがっちり組もう」と訴えた。
黄迎満議長候補は少子高齢化、日本籍同胞の急増、新規定住者の増加など数値をあげて指摘し、「再編期にある同胞社会で、民団が引き続き求心体となっていくために宣言・綱領はもちろん、規約の見直しを行いたい。公聴会などで多くの意見を集約し、団員の総意をくみ上げ、それを力に変換していく」と強調した。
金昌植監察委員長候補は、「同胞社会は日本永住者の共同体であるとの観点から、同胞の生活安定と地位向上に取り組む」とし、「そのために、監察機関として不羈独立と高潔な精神を堅持しながらも、執行・議決機関との協調を図り、健全財政の確立と重要事業の推進を積極支援する」と約束した。
■□
組織強化へ期待感…出足良好、質疑も活発
合同演説会ではこれまで、質疑応答を行わなかった。特定候補を応援もしくは非難し合う場になりかねず、選挙戦を必要以上に過熱させるからだ。今回は3機関とも単独候補となった関係で、問題意識を共有する場になればと、選管が特例として実施したもの。主だった意見は次の通り。
「組織が頭でっかちになっている。団員と支部との距離を縮める方策は?」「生活相談センターは素晴らしいが、まだ全国化されていない。早期に拡大策を」(福岡会場)。「同胞過疎地区への対策が明確でない。統廃合にどう取り組むのか」「民団離れは深刻だ。価値を創造する民団でなければ生き残れない。どう魅力ある団体にするのか」(広島会場)。
「祖国の統一問題について、もっと積極的な発言があってしかるべきだ」。「民団は岐路にあるというが、対応策が不十分で、遅いのではないか」(大阪会場)。「財政基盤の確立に、どんな具体策があるのか」「同胞企業が在日を主に雇用するよう指導を」(東京会場)。「宣言・綱領を見直すという意見もあるが、その骨子は? 3機関長立候補者の間で方向性は一致しているのか」(仙台会場)。「5・17事態の経験から、朝総連に今後どう対応するのか」「民団の必要性を同胞に周知させる具体策を」(名古屋会場)。
「国政選挙権」懸念の声多く
各会場で共通して論議の対象になったのは、韓国国会で5日に成立した「在外国民の国政選挙権」をどう受けとめるべきか、についてだった。「在外国民として原則的に歓迎する」としながらも、「民団が進めている地方参政権獲得運動への影響はどうなるのか」という意見もあれば、「韓国の政治対立が、在日社会にそのまま持ち込まれるのは困る。民団を分裂させかねない」との見解も多かった。また、「韓国の政党支部が日本にできれば、民団との関係も複雑になる。成り行きを鋭意注視し、先んじて対応策を考究すべきだ」との声も相次いだ。
■□
合同演説会
▽6日福岡=九州地方協議会(会長・朴興謨福岡本部団長)=約70人
▽7日広島=中国地方協議会(会長・権五源広島本部団長)・四国地方協議会(会長・金相奉香川本部団長)=約80人
▽8日大阪=近畿地方協議会(会長・金漢翊大阪本部団長)=約220人
▽11日東京=関東地方協議会(会長・李時香東京本部団長)=約130人
▽13日仙台=東北地方協議会(会長・李根宮城本部団長)=約50人
▽14日名古屋=中北地方協議会(会長・梁東一愛知本部団長)=約120人。
(2009.2.18 民団)