掲載日 : [2009-02-25] 照会数 : 6426
<女性コラム>力をくれた安蘭さん
もともと宝塚歌劇団にはさほど関心はなかった。でも…。
星組男役トップ、安蘭けいの安は本名から。けいはコヒャン(故郷)の慶尚道からとった芸名だという。宝塚といえば音楽学校に入るだけでも超難関。歌劇団に入ってもトップまで登りつめる人はほんのひと握りだろう。在日同胞からそのようなスターが生まれたこと、さらにルーツを大事にして活躍なさっていることを知り、感銘を受けた。2年前のことだ。
福岡には博多座という劇場があり、月替わりで趣の異なる舞台が観られる。安蘭さんのことを知ってしばらくたった頃、博多座8月恒例の宝塚公演が星組の「シークレットハンター」だと発表された。
安蘭さんが出る! 宝塚のことはよくわからないけれど、同胞の一人として応援したい。チケットを2枚買った。
そのころの私は魂が抜けたようになっていた。一人息子の大学進学の折に生じたわだかまり。初めて一人暮らしとなった寂しさ心細さもあって泣き暮らしていたが、久しぶりに連絡をとり、息子を博多座へ誘った。宝塚も一度は観てみたいねと以前から二人で話していたからだ。
安蘭さんは素晴らしかった。あのかっこよさといったら! 韓国語で「ポゴシッポヨ」を歌った時は泣いてしまった。息子と私は大ファンになり、その後の福岡公演にも出かけた。
その安蘭さんが宝塚を引退する。今は寂しくてしかたない。でも、母子の絆を取り戻させてくれた。そして、元気に生きる力をくれた。本当にありがとう。
金英子(福岡・福岡韓商職員)
(2009.2.25 民団新聞)