掲載日 : [2003-03-19] 照会数 : 4284
高齢者に〞だんらん〟提供(03.03.19)
[ ピビンパの食事を楽しむ戸手地区の住民たち ]
独り暮らしの同胞対象に毎週1回、食事会
幸区市民館とタイアップ…川崎戸手教会
「社会教育講座」も共催…地域住民の交流活性化
【神奈川】川崎市幸区の通称、戸手集落で一人淋しく暮らす同胞高齢者のためにと地元の教会が毎週1回、昼食サービスを行っている。この独自の福祉活動は幸区を動かし、昨年10月からは地元の区市民館も月1回、教会の昼食サービスに相乗りする形で「出前講座」を始めた。この結果、地域交流の輪はさらに広がっている。
昼食のサービスは毎週水曜日、地域で「ヨルダン寮」の名前で親しまれている川崎戸手教会地域活動センター(孫裕久主事)で実施している。
月3回が独り暮らしの同胞高齢者を主な対象とした「高齢者サロン」。このほか月1回は幸市民館とタイアップした出前講座「戸手ゆうゆう教室」も開かれている。
「ゆうゆう教室」は60歳以上の高齢者ならば誰でも参加できる。12日午前中には幸病院の平田滋院長による健康に関する話を聞こうと30人余りの住民が集まった。講座が終わると全員でテーブルを囲んで昼食のピビンパを楽しんだ。この後もコーヒーを飲みながらの団らんが午後3時過ぎまで続いた。
参加者の一人金七夕ハルモニ(80)=民団川崎支部戸手分団長=は「ここは私にとってのお楽しみの場。みんなに会えるから」と話している。
孫主事が独り暮らしの同胞高齢者を対象に昼食サービスを始めたのは昨年8月から。戸手地域では核家族化と高齢化が進み、家に閉じこもって昼間から一人テレビを見ながら過ごしているお年寄りの姿が目立っていたという。
孫さんはお年寄りが気軽にお茶や食事を楽しみながら世間話でもする場をつくったらどうだろうかと考えた。
食材の費用は地域活動センターで負担、食事の仕度はボランティアの助けを借りた。食事だけでなくマッサージサービスも同胞お年寄りから喜ばれた。地域の民生委員の一人は、「地域のお年寄りにはこういう肩のこらない場が必要だった。孫さんには感謝しています」と話している。
孫さんは4月から始まる「ゆうゆう教室」では新しくチャンゴのプログラムも取り入れ、お年よりと子どもが一緒に楽しめるようにしたいと話している。
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戸手集落とは
解放後間もなく、京浜工業地帯の就労者が集まり多摩川の河川敷に形成された。住民は高齢化が進み、核家族化に伴って人口は減少しつつあるが、いまも240人余りが暮らしていることが建設省の実態調査(97年11月―98年2月)で確認されている。このうち約6割が在日同胞だ。敷地の大部分が国や市の土地のため法的には〞不法占拠〟の状態。住民は立ち退きを迫られている。
(2003.03.19 民団新聞)