掲載日 : [2009-03-11] 照会数 : 7765
フラッシュ同胞企業人<34>環境革命燃料に挑戦も
[ 1933年慶尚南道山清郡生まれ。国民学校卒。63年に瓶のリサイクル業・北秋容器を創業。秋田商銀理事長や秋田韓商会長などを務めた。2男1女、孫2人。 ]
瓶のリサイクル業
北秋容器の鄭源生社長
瓶のリサイクル業ひとすじに歩んできた。「リサイクルは付加価値をつけてこそ、販売が可能。瓶を洗浄し、酒造店などに納品して来た」
「スーパーソル」
ところが、近年はペットボトルが主流を占め、瓶のリサイクルに異変が起こった。「メーカーに納品していた壊れた瓶は、リサイクルのコストが割高になり、逆に処理代をもらってこちらが引き取るようになった」
回収した廃ガラスをなんとかリサイクルできないものかと模索していたころ、「スーパーソル」の話が持ち上がった。「捨てればゴミ、活かせば資源。地域で発生したゴミは地域内で処理する地域融合型リサイクルシステムの循環型社会の構築が大切と考え、工場建設に乗り出した」
スーパーソルとは廃ガラスをリサイクルした軽量発泡資材のことで、カレット(粉砕処理されたガラス片)を「新しい資源としてとらえた」。
07年3月に導入したプラントは、ガラスを粉砕後、粉末にしてから発泡活性剤を混入する。焼成炉で800度に焼き上げた、軽石のような製品がスーパーソルだ。洗って何度も使え、土壌と同じ成分なのでそのまま土として取り扱える。
東北で初めて導入、県のリサイクル製品に認定された。多くの行政担当者に注目され、「知事や市長ら関係者が見学に訪れている」。
▽透水性と保水性を持つ▽燃えない▽軽量▽施工の自由度が高い−−などの特徴を有する。現在、もっとも多く利用されているのが、道路工事に使われる発泡スチロールの代用。道路工事の際、発泡スチロールは産業廃棄物となり、処理に莫大な経費がかかるが、スーパーソルはそのまま土として生かされる。
このほか、園芸や農業、断熱、水質浄化など幅広い分野で活用できる。「付加価値のあるスーパーソルをいろいろな分野に提供することで需要拡大を図り、リサイクル事業の確立をめざしたい」
1933年慶尚南道山清郡生まれ。20歳過ぎに秋田の親戚を頼って来日。スクラップ業を8年間手伝った後、独立。63年に大館市に北秋容器を創業し、空き瓶回収販売業を始めた。「早朝に起きてから空き瓶はなんでも集めた。働くことは苦にならなかった」
67年に洗瓶工場を大館市に、88年に秋田市にそれぞれ新設。92年に法人化。93年に秋田支店第2倉庫、06年に大館市にリサイクル工場をそれぞれ新築した。07年売上額は約175億円、社員39人。
ペレット工場も
スーパーソルのプラント工場に隣接して、今年1月からペレット工場を稼働させた。製材所の端材を材料に、安全で環境にやさしい燃料を生産する。大館市庁舎にはペレット用ボイラーが設置され、家庭用のペレットストーブも開発された。「石油に比べて火力面でやや劣るものの、環境エネルギー革命と称される燃料だ」。今後は病院や老人ホームなどでの需要が期待される。
秋田商銀の理事長を8年間務め、再建した。「片道2時間かかる大館‐秋田間を1日2往復したこともたびたび。ひたすら一生懸命やるだけ」。秋田韓商の会長を経て、現在は民団秋田県本部顧問。
細身の体だが、「毎日、1升瓶10本入りの木箱を出し入れしたので、力には自信がある。自分の人生は冒険の連続だった」と振り返る。愛犬との毎朝の散歩が健康法。喜寿を前に新事業へのチャレンジは続く。
◆北秋容器(株)秋田県大館市片山町3(℡0186‐49‐1675)
(2009.3.11 民団新聞)