掲載日 : [2009-04-15] 照会数 : 8536
共鳴の輪支援の輪 デビュー30周年の朴保さん
[ 朴保さん ] [ 田中幸夫監督 ]
歌に託す怒りや悲しみ
新作カンパ100人委…活動記録した映画も完成
今年、デビュー30周年を迎えた在日3世のシンガー・ソングライタ‐、朴保さん(54)。社会的メッセージを込めた歌に、多くの人が共鳴してきた。そんな朴さんを応援したいと、このほど発足したのが「プロジェクトP」(朴保新アルバム制作100人委員会)。アルバム作りを資金面で支援するほか、完成後のバックアップも。夏には朴さんに密着した田中幸夫監督の音楽ドキュメンタリー映画「歌いたい歌がある」が東京、大阪などで上映予定だ。今、朴さんの周辺で活発な動きが出ている。
朴保さんのデビュー30周年を記念、賛同者100人が資金を出し合って新しいアルバムの制作を応援する「プロジェクトP」。
趣意書によれば、賛同者は1口3万円を出資してアルバム作りを資金面でバックアップするとともに、完成後も自主的に一人平均10人の新規購入者を開拓していくことを約束している。呼びかけは口コミで大阪、兵庫、奈良、滋賀へと広がり、100口300万円に達した。
委員会を立ち上げた金鐘八さん(京都市)は、「実力がありながら、マイナーな地位に甘んじている朴保さんをささやかながら支えてあげたかった」と話している。
新アルバム「橋〜未来へ(仮)」は6月に発売される。朴さんは自身のホームページ上で「未来への橋、音楽(文化)を通しての心の橋を懸けたい」と語っている。3000円。予約・問い合わせは「プロジェクトP」(
kokangho@hera.eonet.ne.jp)。
10年の歩みこの夏公開
朴さんに密着した音楽ドキュメンタリー映画「歌いたい歌がある」(田中幸夫監督、70分)が完成した。映画は朴さんの韓国と日本、米国でのライブを追いながら、朴さんが歌に託した多民族・多文化共生、自由や反戦、環境、差別問題などの社会的メッセージを浮き上がらせている。
田中監督が朴さんと出会ったのは13年前。戦傷元軍属の鄭商根さんを支援する戦後補償集会の席で、朴さんの歌う「傷痍軍人の歌」に心を揺り動かされたのがきっかけだった。朴さんの怒りや悲しみの感情をストレートに伝えたいと、10年がかりで映画化した。この夏、東京の渋谷UPLINKや大阪の第七藝術劇場などで公開される。
田中監督は52年、兵庫県芦屋市生まれ。これまでマイノリティーに取材したドキュメンタリー映画やテレビ番組を多く手がけている。主な作品に「叫びとささやき」「在日コリアンの肖像」「在日の戦後補償」「未来世紀ニシナリ」(07年度キネマ旬報文化映画部門第3位)など。
(2009.4.15 民団新聞)