掲載日 : [2009-05-13] 照会数 : 5873
<布帳馬車>「電波に流れた「孝道」
5月10日は「母の日」。その2日前の8日は韓国の「オボイナル」(父母の日)。ともに一年に一度の親孝行の日。
「韓国には、親や祖父母を敬う孝道(ヒョド)という伝統的な教えがあります…」
4月のある日、運転中にこの「孝道」という言葉が耳に入り込んだ。ニッポン放送「上柳昌彦のお早うGood Day!」という番組で、民団が発刊した孝道賞の受賞作品集「オモニとの約束」が紹介された。実は、民団中央本部のあるスタッフが毎朝出勤時間に聴いている「お気に入り」で、同番組宛に作品集を送ったことが放送されたきっかけだった。
昨年で5回を数える「孝道賞」。この本のタイトルにもなった「オモニとの約束」は第1回の受賞作で、中学時代から手のつけどころのない不良だった在日2世の話である。親孝行など、一度もしたことがなかったが、ペンキ職人として遊園地の観覧車を塗っていたとき、目の前に広がる富士山があまりに美しかったので、思わず携帯電話で母親に電話。「おかん、今度、絶対俺が見せてやるからな」。
喜んでいた母が、この電話の翌日、突然、亡くなった。結局、親孝行は実行できなかった。そして数年後、妻子を連れて母の写真を手に富士山を訪れた。
電波を通して紹介された韓国の伝統的な教え「孝道」。実は私、まだこの本を読んでいなかった。まずはじっくり読んでみようか。(Z)
(2009.5.13 民団新聞)