掲載日 : [2003-04-02] 照会数 : 6156
9割が反対 大学受験資格のアジア系民族学校除外(03.04.02)
[ アジア系民族学校生への大学受験資格付与を求める青年会代表団 ]
文科省の再検討促す
アジア系民族学校の排除を決めていた文部科学省には20日間で1万2779通に上る反対意見(「パブリック・コメント」)が寄せられた。これは意見全体の96%を占め、賛成はわずか564通にしか過ぎなかった。文科省としてもこうした世論の動向を無視できなかったようだ。
「パブリック・コメント」は文科省が法案の一部改正を前に3月7日から27日までの20日間、一般から募ったもの。郵便やFAX、電子メールで全国から1万3343通が届けられた。
この一部は「パブリック・コメント」を呼びかけてきた市民団体にも転送されてきている。この中から主なものをピックアップしてみた。
反対意見で目立ったのは、インターナショナルスクールだけを認めてアジア系民族学校を排除したことへの疑問。教育の機会均等などに背くだけに、当事者の親には「耐え難い差別」として受け止められてきた。
これに対して文科省は「なぜ、インターナショナルスクールのみなのか」との疑問にこれまで当事者を納得させうるだけの回答を行ってきていない。
このため、卒業生に受験資格を認めるに足る教育が行われているかどうかは「外国の民間機関などに依存せず、法務省のように文科省の方が直接、民族学校を訪れて、吟味し判断すればよいのではないでしょうか」という提案も見られた。
文科省は当初、民族学校まで含めて国立大学受験を認める方向で検討するとしていた。北韓による日本人拉致が明らかになり、世論の排外熱と軌を一にして態度を翻したことには「教育を受ける権利を時の政治情勢や、まして誤った認識に基づく感情で左右すべきではない」と批判する意見も多かった。
さらに東京大学大学院生の一人は「来年度入試に間に合うように、すべての外国人学校に大学受験資格を認めるよう、文部科学省は早急に必要な措置を行うべき。さもなければ、各大学の自主判断に任せることを公的に明言すべきです」と呼びかけている。
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人権の視点で見直しを…青年会が要請行動
青年会中央本部(壽隆会長)は3月28日、国立大学受験資格問題で再検討を決めた文部科学省を訪れ、韓国系民族学校だけでなく朝鮮学校、中華学校を含むすべての民族学校卒業生に国立大学受験資格を与えるよう改めて要請した。
会長は「受験資格の再検討にあたっては人権の意識をもって考えてほしい」と強調した。同じく青年会東京本部の朴慶龍会長も「外国人学校を出た子どもたちが日本人と同様、あたりまえに国立大学を受験できるよう望む」と述べた。
これに対して応対した大学課の亀田徹課長補佐は「結果的に対象になるところとならないところが出たが、差別の意図はない。合わせて検討すべきだとの意見を踏まえてこれからあらためて検討していくことになる」と明らかにした。
(2003.04.02 民団新聞)