掲載日 : [2009-07-29] 照会数 : 9146
寝屋川市を売り込め ブランド戦略在日3世に託す
[ ブランド戦略室課長に就任した金明姫さん ]
【大阪】寝屋川市(馬場好弘市長)は市の新たなブランドを確立し、イメージアップを図るという戦略部署に民間出身の在日韓国人3世、金明姫さん(41、生野区在住)を抜擢した。同市は目立った観光資源や特産品が少ないうえに、国民健康保険料の支払いは全国トップとイメージは芳しくない。最近では国内最初の新型インフルエンザ感染者が見つかった。
市が一般公募で採用
金さんの肩書きは経営企画部ブランド戦略室課長。この部署は同市が4月、府内で初めて設置したもの。市によれば、金さんの提出したブランド戦略に関するレポートは市の「イメージにぴったり」だったという。全応募者23人の中から選ばれた。
金さんは唯一の外国籍者だったが、なんら問題にはならず、「人物本位」で選ばれた。採用は7月1日付。
業務の柱となるのは情報発信による市民サービスの向上。当面の仕事は市の新しいロゴや名刺などの考案、窓口業務やサービスの見直し、市関連行事への出席などが考えられている。早くも5日には保護者と子ども、およそ1100人が集まった場で司会をこなした。
市は、市民と行政の協働による「元気都市 寝屋川」を目ざしており、金さんの手腕に期待している。ブランド戦略室室長の市川克美さんは「物腰が柔らかくさわやかで、寝屋川市のイメージにぴったりだった。民間で培った豊富なキャリアを行政に生かしてほしい」と期待を込めた。任期は当面12年3月までの3年間。
金明姫さんは同志社大学工学部卒業後、民間会社の研究員を経てアメリカ企業の航空会社などで客室乗務員や通関業務に携わった。このほか、01年から4年間ほど務めた企業では人材開発や人事研修に従事。自然化粧品の輸入販売会社で接客販売を担当したこともある。
これまで営利追求が目的の企業で長くやってきただけに、「逆に公共性の高い仕事をしたいと思うようになりました」と金さん。「橋下徹知事や宮崎県の東国原英夫知事がなさっているように、寝屋川市をセールスしていく立場として、イメージアップを図っていきたい」と話した。
大阪市立中川小学校通学当時は民族学級に入級し、5・6年の2年間、学んだ。「歴史、ハングルや楽器を習ったことは大変良い体験になりました」と語る。
寝屋川市の人口は24万人でこのうち在日韓国・朝鮮籍者は1566人(08年12月末現在)。同市には金課長のほかにも外国籍職員が2人在籍している。
(2009.7.29 民団新聞)