掲載日 : [2009-08-15] 照会数 : 6191
歌人生50年集大成の日本公演 李美子さん
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「くじけぬ思い」ともに 最高のステージにしたい
デビュー50周年の李美子(イ・ミジャ)が9月に、大阪と東京で記念公演をする。4月のソウルでの連続コンサートはチケットが売り切れ、人気の根強さを見せつけた。3月には李明博大統領から、大衆歌手としては初めて「銀冠文化勲章」を授与された。「今後も歌を通じてすべての人に希望を与えてください」と語りかけた李大統領の言葉に、人々の思いが集約されている。今回が日本での最後のツアーという。在日同胞にとっても特別なものとなる日本公演を前に、ソウルで心境を聞いた。
−−19歳だった1959年に「十九の純情」でデビューしました。歌手生活50年です。
李美子 振り返ってみると悲しい時もあり、うれしい時もありました。よくぞやってきたなとつくづく思います。
ヒットするたびに禁止曲(注参照)にされた時代がありました。「椿むすめ(トンベクアガシ)」は20年以上も歌うことができませんでした。このイ・ミジャには歌以外に何もありませんから、本当に辛かったですね。
50年の間、歌手として生きてくることができたのは、そんな私には本当に大きな祝福でした。その長い歳月の間、一緒に泣き一緒に笑い、愛してくれたファンたちがいなかったら、今のイ・ミジャはなかったでしょう。
そうしたファンのためにも、「私の生が終わる日まで歌手として生きていきたい」、そんな気持ちでいっぱいです。
−−在日同胞には多くのファンがいます。とくに1世は異国の地で、李美子さんの歌を聴きながら故郷を懐かしみ、元気をもらってきました。
李 韓国語に「苦労の後に楽がくる」という言葉があります。明るくて元気な姿、そして立派に暮らしている在日同胞の皆さんに会うたびごとに、大変うれしく思ってきました。
遠い異郷で大変な自分の生活を犠牲にしてでも、故郷の親兄弟や国のことまで気を遣って頑張ってきました。韓民族としての誇りを忘れずに生きる姿に、尊敬と称賛の言葉を心を込めて送ります。
−−ファンたちに特にアピールしたいことは。
李 10年ぶりの日本公演です。とても興奮し、期待感に膨らんでいます。今回の公演をひと言で表現するならば、これまで苦労してこられた在日同胞の皆さんの前で、私の50年の歌人生を決算し、報告する場といいましょうか…。
これまで何回か日本公演をしましたが、今回はそれまでの公演とは異なります。以前は私一人で日本に行き、演奏者をはじめとするスタッフは全員が日本人でした。
しかし、今回の公演はソウルの世宗文化会館の大劇場で行った「イ・ミジャ 歌の50年コンサート」と同じ企画で、同じスタッフたちがそのまま参加します。特別にしたかったのです。
おそらく日本での最後の公演になるでしょう。私を愛する多くの在日同胞の方々に私の歌の50年史を精一杯見せたいと思います。誇りと自負心を持って最高のステージを見せるつもりです。
異郷で苦労の皆さんの力に
−−最後に、在日同胞へのメッセージを。
李 私は一生迷うことなく歌を歌い、ファンたちの愛を受けてきました。いつも私を大切にして、多くの激励と愛をくださる在日同胞に感謝し、恩返しするには歌しかありません。
私は軽快で朗らかな曲より、困難に負けない思いを込めた歌を歌い続けてきました。異郷での苦しみを味わった在日同胞の皆さんの力になれるのではないか、と思っています。期待に添うすばらしい公演になるよう全力を尽くします。
※編集部注=「椿むすめ」は1964年の大ヒット曲。韓日会談反対闘争の渦中で、日本色が強いとされ、公演で歌うことはもとより、レコード製作も禁止された。「キロギアッパ(雁の父さん)」など哀嘆調が過ぎるとされた曲もある。
大阪公演=9月7日・グランキューブ大阪・18時半開演。東京公演=11日・中野サンプラザ・18時半開演。
前売りチケット=ローソンチケット℡0570・000・777。イープラスチケット℡0570・02・9111。チケットぴあ℡0570・02・9999。価格=R席9800円・S席8800円・A席7800円。
(2009.8.15 民団新聞)