掲載日 : [2009-09-30] 照会数 : 7227
朝鮮通信使 2市で韓日善隣謳う
[ 想像力豊かに再現した朝鮮通信使歓迎の宴 ]
[ 福岡では初めて再現された朝鮮通信使行列 ]
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家康の饗応料理を再現
NPO法人「おもてなしの心」学ぶ…静岡市
【静岡】徳川家康が1607年の第1回朝鮮通信使を歓迎した際の饗応料理が22日、静岡市清水区の清見寺で再現された。セレモニーには市民約250人余りが参加。実際に料理を味わい、船遊びも体験して、当時の「おもてなしの心」に思いを馳せていた。地元興津で街おこしに取り組んでいるNPO法人AYUドリーム(雨宮令子理事長)が企画、県と市が助成した。
セレモニー会場となった清見寺の一室は江戸時代にタイムスリップしたかのような演出が施された。葵の紋様が周囲を彩り、朝鮮通信使を歓迎する琴も演奏された。接待役の駿河代官井出志摩守などに扮したスタッフは全員、江戸時代の武家風衣装。一方、朝鮮通信使の三使役は正使の金両基さんのほか、民団静岡本部の関係者らが再現衣装をまとって演じた。中央には3汁15菜の引替膳を置いた。
この日の饗応料理は主催者側スタッフが、資料をもとに郷土史研究家の市毛弘子さんから指導を仰いで再現した。スタッフの一人は、「豆腐などの植物タンパクが中心で健康的。料理は抗菌作用の高い熊笹を下に敷き、調味料が豊かでなかった時代にわさびと生姜を効果的に使うなど、当時の食文化はすごい」と感心することしきり。
できあがったばかりの饗応料理を目の前にしたある主婦は、「ものすごい高級。下々の者には食べられない」とため息。一方、「地元で採れる素材を重視している。食材さえアレンジすれば、家でもつくれそう」と興味深げに携帯電話のカメラを向ける姿も見られた。引き替え膳から選ばれた4品と蕎麦切りは、式典を終えた後、見物客にも振る舞われた。
これに先だって抽選で当選した市民100人が朝鮮通信使役の三使とともにオーシャンプリンセス号に乗船、清水港内を周遊する船遊びを体験した。これは、徳川家康が朝鮮通信使一行をもてなすため、駿河湾に5艘の船を浮かべて歓待したという史実に基づく。
また、この日の清見寺での歴史講座では、金両基さんが「朝鮮通信使は家康が発信した平和外交」というタイトルで記念講演を行った。聴衆は会場に入りきれず、階段まで鈴なりの状態だった。清見寺は東海道興津宿に位置し、江戸時代には通信使がしばしば訪れて盛んな民間交流が行われたゆかりの寺。
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初の再現行列練り歩く
釜山との行政交流20周年で…福岡市
【福岡】福岡市と釜山市の行政交流20周年を記念した式典が20日、福岡市内で約1000人を集めて開催された。両市は1989年に行政交流都市、2007年に姉妹都市となった。「友情年」と位置付けた今年は、8月に両市を核とする「超広域経済圏」形成のための23事業推進で合意した。
福岡市の吉田宏市長は、「20周年は新たな出発点。国境をまたぐ地域連携のモデルとしてともに発展していきたい」とあいさつ。釜山市の許南植市長は、「新たな100年、200年を開いていく約束の場だ」と述べ、発展を誓い合った。4回目の「フォーラム」では、東西大学校の張済国副総長が、「現在は多様な計画が並んだ段階。相互利益がなければイベントだけで終わってしまう。そのためのロードマップ(工程表)を示すべきだ」と指摘した。
福岡アジアマンス20周年事業の一環としてこの日、「朝鮮通信使」を再現した行列が披露された。福岡で初めてのパレードには民団福岡県本部から70人が参加し、祝賀ムードを盛り上げた。また、韓国料理ブースや民族衣装体験コーナーなどを設け、来場者の人気を集めた。
民団福岡の宋一柱副団長は、「歴史を再現することで、多くの人に交流が広く行われていたことを知る機会となり良かった」と感想を語った。
このほか、両市の「姉妹映画祭」締結式をはじめ多彩なイベントが行われたが、その中で注目されたのが記念切手と交流史の副教材交換式。これは超広域経済圏課題の1つで、実践の第一歩として、両市間の物質的交流とともに、精神的交流を通じた「協力モデル」を示したものだ。
(2009.9.30 民団新聞)