掲載日 : [2003-05-01] 照会数 : 3636
同胞家庭を戸別訪問 青年会・歴史写真収集活動始まる
[ 住宅地図を指しながら解放当時の地理を説明する呉支団長(調布・旧二本松地区で) ]
多摩川流域の集住地で現在も残る砂利洗い場
数年前消えた集落に落胆
在日同胞が歩んできた歴史を後世に伝えようと青年会(寿隆中央会長)が取り組んでいる「歴史写真」の収集活動が23日、全国で最も早く民団活動が始まった民団西東京本部管轄地区でスタートした。多摩川の河原での砂利採取、小河内ダム建設工事など、同地域の特徴的な同胞の労働場所などを中心に、精力的に同胞家庭を訪問して写真を集めた。
青年会中央本部の李恭孝副会長と林永起組織部長の2人は、西東京地区でも活動が活発だった調布支部(呉泰鳳支団長)管内を巡回した。多摩川流域で「砂利掘り」と呼ばれる砂利採取に従事した経験がある同支部の李東鳳顧問から、当時の状況を聞いた。
常時50〜60人が河原の砂利をトラックに積んでいた様子や、そのほとんどが同胞労働者であったことなどを聞いた。しかし、残念ながら火事に遭い、写真なども消失してしまったという。
呉支団長に教えられて、今も残る砂利の「洗い場」などを撮影して回った。同胞が集中して居住していた「ウズラ台」と呼ばれる地区は、すでに大規模な宅地開発によって当時の集落の面影は残されておらず、2人とも「もう少し早くこの活動が始まっていれば」と肩を落とした。
町田では、町田駅前で初めて遊技業を開店させた朴允龍さん宅を訪問し、当時の生活相などの話とともに保存されていた写真を閲覧した。周辺で初めて手に入れた自家用車の写真や当時の駅周辺の様子が映し出された写真を見つけた。
西東京での活動は、7月から全国一斉にスタートする本活動の調査を兼ねたもの。図書館、新聞社、同胞家庭内、公共機関など、どこに写真が埋もれているかを調査し、全国展開前に効率的な活動を形作る。
青年会は一昨年、「われわれの歴史を伝える運動」で全国400人の1世の聞き取り調査しており、今回の写真収集と遭わせて、在日同胞が歩んできた足跡を聞き取りと映像で残し、4世5世のアイデンティティの拠り所にしてほしいという。
青年会では、解放前後や地場産業など同胞が多く関わってきた労働、同胞の状況を表している写真の提供を、全国の同胞に呼びかけている。
(2003.4.30 民団新聞)