バンクーバー冬季五輪まで約2週間。韓国は今大会で金メダル6個を目指している。06年トリノ大会では金6個を含む、計11個のメダルを獲得し国別順位で7位と大躍進を見せた。今大会、フィギュアスケートのキム・ヨナをはじめショートトラックやスピードスケートなどが有力候補だが、実は他の意外な種目でもメダルが狙えるかも。また、初出場の種目も多く、見所の多い大会となりそうだ。
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今や「スケート王国」
めざすは総合10位内
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500㍍と1000㍍で韓国初のスピードスケート金メダルをねらう李奎?。韓国の後輩、李康?が最大のライバルだ |
韓国選手団はスケート、スキー、バイアスロン、ボブスレーの4種目に45人の選手(男子26人、女子19人)と37人のスタッフ、計82人の選手団を派遣する。2月2日、泰陵選手村で結団式を行い、5日にバンクーバーに向かう。
今大会、韓国の金メダル目標はずばり6個。
その筆頭候補は「国民の妹」として韓国国民ばかりでなく世界中が注目している「フィギュア・クイーン」のキム・ヨナであることは言うまでもない。
プレッシャーはあるものの、持ち前のパワフルさとスピード、そして華麗さは今や「敵無し」だ。
李奎?と李康?一騎打ちかも?
また、最も金メダルに近いと言われているのがスピードスケート男子の李奎?。
世界スプリントでは4回のレースですべて3位以内に入り絶好調。1000㍍は1分9秒44と1分9秒60で第1、第2レースとも1位、500㍍は3位と2位で総合優勝を飾った。
1000㍍を得意としていたが、07年から500㍍の記録が伸び、500㍍と1000㍍の記録を合算する世界スプリント選手権で強みを見せている。
06年のトリノ大会後に引退するのでは、とささやかれたが、07年から2年連続で同選手権総合優勝を果たし、「第2の全盛期」に入った。世界のトップ選手でありながら、まだ五輪メダルがない。バンクーバーは5度目の五輪。今の調子ならメダル獲得はもちろん、500㍍と1000㍍の2種目制覇も不可能でない。
本人も「最後の五輪なので、悔いを残したくない。メダルを狙う」と意気込みを見せている。
ライバルは長島、加藤、及川などの日本勢とフレデリクス(米国)のほか、韓国の後輩、李康?ら。
女子李相花も自信を深める
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男子とともに金メダルの期待が高い、女子スピードスケートの李相花 |
女子の李相花もメダルの可能性が高い。世界スプリント500㍍で総合優勝を飾った。第1レースで38秒19を出し、世界記録を持つジェニー・ウォルフ(ドイツ)を破り1位になったのが、原動力になった。スタート100㍍の区間記録はウォルフに0・21秒も後れを取ったが、その後はリードし、逆転勝ちした。
国際スケート連盟(ISU)ワールドカップを含め、ウォルフに勝ったのは初めてだった。
500㍍第2レースはウォルフに続き2位。1000㍍では4〜6位にとどまったが、500㍍で積み重ねたポイントを守り抜き、総合優勝を手にした。
李相花は韓国女子短距離界で圧倒的な力を誇るため、男子代表の李奎 、李康 らと練習している。これまで国際大会のたびにウォルフや王北星(中国)に阻まれ、2〜3位止まりだったが、今大会の優勝で五輪への自信を一層深めている。
ボブスレーでも初の全種目出場
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韓国版「クール・ランニング」を演じるボブスレーも全種目出場権を獲得、見どころたっぷりだ |
韓国版「クール・ランニング」を演じているボブスレーの韓国代表がおもしろそうだ。
4人乗りの出場権を獲得した韓国が、2人乗りでも出場権を獲得する奇跡を起こした。韓国がこの種目に出場するのは初めて。
出場権をほとんど諦めていたなか、18日、「国際ボブスレー連盟(FIBI)から、韓国が2人乗りに出場できるようになったという連絡を受けた。
この種目、韓国の世界ランキングは19位で五輪出場権が与えられる17位には届かず、自力出場をほとんど諦めていた。
ところが、2チームがともに17位内であれば、2チームとも出場権を得る強豪国のルーマニアやオーストリア、イタリアがともに、片方のチームが50位内に入れず、出場権を逃した。これによって韓国の順位が繰り上がり、劇的に出場権を獲得した。18位だった日本も、出場権を獲得した。
チームを率いるカン・グァンベは、「針の穴を通したような感じ」と感激しながら、「両種目で出場すると、五輪期間中、練習時間をさらに確保できるメリットがある。出場できるだけでも嬉しい」とし、「メダルは難しいが、韓国ソリのプライドを見せたい」と語っている。
カン・グァンベは冬季五輪でボブスレー、リュージュ、スケルトンの3種目すべてに出場する世界初の選手となる。
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冬季五輪の華でもある女子フィギュアの女王、キム・ヨナ。韓国国民だけでなく世界中からその華麗な演技が期待されている |
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ジャンプに意外性も
最大の期待はキム・ヨナ
世界ランクトップを誇るお家芸のショートトラックは今回もメダル量産が無難なところ。
お家芸Sトラック今回もメダル量産
安賢洙、陳善有ら男女看板選手が故障によって五輪代表選抜戦から脱落したことで不安視されたが、今シーズンのW杯では若手が台頭し、選手層の厚さを見せつけた。
昨年4月の代表選抜戦で勝ち抜いた五輪代表は李昊錫、ソン・シベク、李ジョンス、チョ・ヘリ、李ウンビョル、朴スンヒなど男女11人。全員が金メダル候補だ。
代表チームの金キフンコーチは「戦力低下の指摘もあるが、みんな激しい競争を勝ち抜いて代表になった実力ある選手。心配は無用」と強気。
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お家芸のショートトラックは戦力低下がささやかれつつもメダル量産が期待できそうだ |
スキージャンプ初メダルに期待
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映画『国家代表』のモデルにもなった韓国スキージャンプ代表チーム。一発狙いで飛ぶ |
韓国のジャンプが急成長している。初のスキージャンプ映画『国家代表』のモデルにもなった崔興らだが、惜しくも4人による団体戦の出場権は逃した。
しかし、崔興、チェ・ヨンジク、金ヒョンギの3人が出場枠を確保し個人戦に挑む。3人とも昨年12月に行ったフィンランド・ドイツ遠征で調子を上げている。世界的レベルでも平均以上の実力だ。
ジャンプは試合当日の天候と選手のコンディションが大きく左右するため、番狂わせの可能性があり、メダル獲得も夢ではない。
スキーではジャンプのほか、アルペン3人(男子2人、女子1人)、クロスカントリー(男女1人ずつ)、フリースタイル1人、スノーボード1人の計10人が出場権を得ている。
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韓国選手注目種目の日程(現地時間)
◆2月12日(金)
ジャンプ・ノーマルヒル予選
◆2月13日(土)
ジャンプ・ノーマルヒル決勝
ショートトラック・女子500㍍予選
ショートトラック・女子3000㍍リレー予選
ショートトラック・男子1500㍍
◆2月15日(月)
スピードスケート・男子500㍍
◆2月16日(火)
スピードスケート・女子500㍍
◆2月17日(水)
スピードスケート・男子1000㍍
スノーボード・男子ハーフパイプ予選
ショートトラック・男子1000㍍予選
ショートトラック・男子5000㍍リレー予選
ショートトラック・女子500㍍決勝
◆2月18日(木)
スピードスケート・女子1000㍍
ボブスレー・男子スケルトン前半
◆2月19日(金)
ジャンプ・ラージヒル予選
◆2月20日(土)
ジャンプ・ラージヒル決勝
ボブスレー・男子2人乗り前半
ショートトラック・女子1500㍍
ショートトラック・男子1000㍍決勝
◆2月21日(日)
ボブスレー・男子2人乗り後半
◆2月23日(火)
フィギュア女子(SP)
◆2月24日(水)
ショートトラック・女子1000㍍予選
ショートトラック・男子500㍍予選
ショートトラック・女子3000㍍リレー決勝
◆2月25日(木)
フィギュア女子(フリー)
◆2月26日(金)
ボブスレー・男子4人乗り前半
ショートトラック・男子500㍍決勝
ショートトラック・女子1000㍍決勝
ショートトラック・男子5000㍍リレー決勝
◆2月27日(土)
ボブスレー・男子4人乗り後半
(2010.1.27 民団新聞)