掲載日 : [2010-02-10] 照会数 : 5613
脱北者の苛酷な現実描く 映画「クロッシング」
[ 写真左からチャ・インピョさん、金ジョングムさん、金テギュン監督 ]
4月から日本上映へ…韓国で100万人動員
北韓の知られざる惨状や脱北者の厳しい現実を描いた映画「クロッシング」(金テギュン監督、チャ・インピョ主演)が、今春から日本でも公開される。
02年3月、脱北者25人がスペイン大使館に駆け込んで韓国行きを果たした「北京駐在スペイン大使館進入事件」を題材に重病の母を救うための薬を求めて脱北した父と、残された一人息子の過酷な運命を描いた問題作。
金監督は脱北者に冷淡な親北・融和政策を推進した盧武鉉政権下で極秘裏に撮影してきた。李明博大統領に政権交代した後の08年6月に韓国で公開されるや100万人近い動員を記録した。日本でも同年の東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映され好評を博した。
4月17日から東京の渋谷・ユーロスペース、その後、全国公開の予定。
金監督が会見
金監督は1月29日、韓国文化院で記者会見に臨み、「日本での正式公開を契機に、日本の人に脱北者と北の現実にもっと関心をもってもらい、脱北者の痛みを少しでも理解してもらえればうれしい」と強調した。
この日の会見には10歳のときに脱北し、現在は韓国の大学で学ぶ女性・金ジョングムさん=写真=も同席した。金さんは「街の通りの様子や、闇市場もよく似ている。浮浪児の生活などはかつての自分と重なる。見るたび胸が痛い」と述べた。脱北に至った経緯については、「親を失い、死ぬか脱北するかの選択しかなかった。ひもじさや空腹なんてなんともない。オモニを亡くしたことがいちばんつらかった」と悲しみを吐露した。
(2010.2.10 民団新聞)