掲載日 : [2003-04-30] 照会数 : 3264
賃貸契約2年で250件 入居差別解消へ善意の橋渡し(03.4.30)
[ 木曜日は韓国語を話せる相談員が応待している
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神奈川「外国人すまいサポートセンター」静かに浸透
提携不動産店186社に
課題は保証人…リスク嫌う個人貸主
【神奈川】外国籍住民の賃貸住宅入居を支援しているNPO法人「かながわ外国人すまいサポートセンター」(金廣照代表)が発足して4月で2年を迎えた。これまで入居を橋渡しした事例は250件を超え、登録不動産店(サポート店)も順調に増えている。一方で入居保証人を確保できず賃貸契約に至らなかったケースもあり、新たな対応を迫られている。
「かながわ外国人すまいサポートセンター」では日曜日を除く毎日、複数のボランティアが交替で詰めて韓国語、英語、中国語など6カ国語で相談に応じている。相談に訪れる外国籍住民から希望の賃貸物件を聞き、外国人に住まいを仲介してくれる不動産店(サポート店)につなぐのが基本。必要とあれば通訳として同行することもある。
こうした住まいに限定した外国人支援組織は川崎市でも実施しているが、都道府県レベルでは神奈川が初めて。民間主導で運営しているのも珍しい。県外からも問い合わせが多く、韓国語対応のボランティアの一人は「知名度が広がってきた」と話している。入居後は言葉や習慣の違いから起こるトラブルに関する相談にも応じている。
登録サポート店は「すまいセンター」のスタート時が118店だった。現在は186店を超える。相談件数そのものは開設以来、02年12月までに累計1300件を越した。年度別に見ると、02年度は691件で前年度より約50件近く増えている。地域にしっかり定着したかのようだ。
賃貸契約に結びついたのはこれまでで250件余りだった。一方で希望の物件を見つけながら成約に至らなかったケースもある。この多くは借り主が連帯保証人を確保できなかったためだという。保証人に関しては「すまいセンター」に寄せられる相談件数も多く、外国籍県民にとってはいちばん切実な問題となっている。
保証会社と代理店契約をしている不動産会社であれば問題も少ないようだが、個人の貸し主の場合はリスクを嫌って保証会社そのものを受け入れないというケースも多い。「すまいセンター」としてもこれが大きなネックになっているという。このほか不動産会社の中には永住権のある借り主に限って認めるという制約を設けているところもある。
「すまいセンター」ではサポートセンターを通じて保証会社の積極的な利用を貸し主に呼びかけてもらっている。また、保証システムの整備をめざして県国際化にも呼びかけ、検討組織を2月からスタートさせた。
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サポートセンター
「外国籍県民かながわ会議」からの提言をもとに神奈川県や地元不動産業者、民団神奈川県本部をはじめとする在日外国人団体が連携して01年4月に設立した支援組織。横浜YMCA内に事務所を置き、外国籍県民への住まいサポート店紹介、外国人・不動産業者・貸主を対象とする相談、通訳ボランテイアの派遣などを行っている。
(2003.4.30 民団新聞)