掲載日 : [2010-02-10] 照会数 : 6856
コリアタウンで「人権」「共生」学ぼう
[ 豚の頭部を手に韓国人の食文化を説明する郭辰雄さん ]
21団体450人が参加 ’09大阪市委託事業
フィールドワーク=キムチ漬け、チャンゴ体験…
【大阪】生野区の「コリアタウン」に入り、五感で「共生」を学ぶ「コリア体験学習」が市民に好評だ。これは大阪市が企画した09年度「参加型人権セミナー」で、市内の小中高等学校PTAや教員、地域人権推進協議会、市民団体などの研修に利用されている。セミナーは昨年8月から始まり、参加者は計21団体450人に達した。
コリアタウンは在日にとっては「食の台所」だが、一般市民には異文化を実感しながら在日同胞の息吹を直接感じられる格好の「出会いの場」。特定非営利活動法人コリアNGOセンター(大阪市生野区桃谷)が昨年5月、「まちの学校で共生を学ぼう」という趣旨の企画を市に提案したところ、市が複数の応募企画の中から選考委員会に諮り、大阪市の09年度参加型人権セミナーとして採用した。
プログラムはフィールドワークとワンポイント韓国語、キムチづくり、チャンゴの各体験学習、座談会などを組み合わせた3つ。希望者が特に多かったのは、フィールドワークと2種類の体験学習、座談会を組み合わせたコース(所要時間2時間30分)で全体の3分の1が希望した。
終了後のアンケートによれば、「韓半島との交流の歴史を学び、異文化に触れる貴重な体験だった」というものが多い。このほか、「大講堂での研修よりはるかに効果があった」「保護者との対応がうまくいかなくて悩んでいたが、少し光が見えた」「自尊感情という言葉を初めて知った」といった好意的な感想が寄せられている。
1月29日には大阪府豊能郡から町立東中学校の2年生30人が訪れた。一行は国際市場から鶴橋本通商店街を抜け、疎開道路を経由してコリアタウンに入った。
入り口で「オイソ(来て)、ポイソ(見て)、サイソ(買って)」の看板を見ると、興味深げに意味を聞いていた。御幸森天神宮では王仁博士のハングル歌碑を見学し、豚肉屋やキムチ工場を見て回った。研修の案内をつとめるコリアNGOセンター運営委員長の郭辰雄さんは、「中には日本名を使っている子どもたちもいますが、研修を通じてコリアンであることを前向きに感じて欲しい」と語る。
コリアタウンが「多民族共生」「国際理解」の場として注目を集め出したのは、サッカーワールドカップの韓日共催が実現した2002年頃から。その後、韓流のドラマの影響などもあり、勢いがさらに加速している。いまやコリアNGOセンターが運営する研修だけでも年間8000人以上が訪れているという。
(2010.2.10 民団新聞)