掲載日 : [2010-02-24] 照会数 : 5979
<布帳馬車>おでん式共生論と「地方参政権」
馴染みのおでん屋に40代半ばの上司と30代後半の部下と思しき二人がやってきた。さる有名企業の社員らしい。日航破綻、トヨタ車リコール、泥仕合政局と話は飛び、日本の将来との関連でひょいと「外国人選挙権」が飛び出した。聞き耳を立てないわけにはいかない。
部下「在日の友人がけっこういるんですが、彼らには区議を選ぶ選挙権もないんですね。自分たちと決定的な区別があるなんて驚きました。ウチみたいな外資50%超でも政治献金ができる時代なのに……。オヤジさん、ガンモとコンニャク」。
上司「こっちには足し汁ね。反対側の理屈に、母国の指示によって動けば日本の安保が脅かされるというのがある。右派系は何で、近隣諸国をことごとく仮想敵国にして、在日外国人もそこに括り付けるのか。ボクにも韓国人、中国人の知り合いや顧客がいるが、かなりバツが悪いよ。迷惑だ」
フムフム。おでんはダシと色々なタネの旨味が絡み合っていい味になる。タネは鍋のなかで仕切られているが、だし汁が遊よくして全体をひとつにまとめている。酒の二、三杯も奢って、おでん式共生論の薀蓄を傾けようとしたが、突如として
「東アジア大会の韓国戦はなんですか。あんなにやられて! バンクーバーでもそうだが、韓国の前にかすみ過ぎですよ」「まったく。何かにつけサムライジャパンと言いながら、討ち死にばっかりだ」と、武士は武士でも嘆きブシが出た。
「オヤジ。ケサンヘジョ(計算して)」とほくそえみを押し殺して席を立った。二人はひそかに目を合わせたようだった。オヤジも実は在日根性丸出しの2世だ。後は任せた。(D)
(2010.2.24 民団新聞)