在日同胞に恩返しをと国民体育振興公団が出資
団員子弟に年500万ウォン
民団は韓国の国民体育振興公団の資金提供を受け、在日同胞の母国修学生を対象にした特別奨学金制度を実施することになった。今年4月から5年間継続する。母国の大学または大学院に修学している団員の子弟が対象で、年額500万ウォンが支給される。定員は20人の予定。
民団 4月から5年間継続
同奨学金制度はソウル五輪の1年後に設立された国民体育振興公団(金州訓理事長)が資金提供する。1988年ソウル五輪の際、民団では在日韓国人後援会を結成し、全団的な募金運動を展開し、約100億円を集めた。
その募金額相当を充当して90年に建てられたのが「オリンピックユースホステル(オリンピックパークテル)」だ。同公団が開館20周年を記念して、在日同胞社会への恩返しとして次世代育成事業への還元を申し出たことから奨学金制度が実現した。
応募資格は、①韓国内の大学または大学院に在学している団員の子弟で卒業後在日同胞社会への寄与に意欲を持つ者②大学3年以上、大学院は1年以上在学(医大など6年制の場合は本科3年以上)し成績優秀な学生③他の奨学制度を受けていないことが条件。師範大学および韓国学(国文学、韓国史、伝統文化など)の専攻学生は優先的に選抜する方針だ。
今年度の応募は3月30日に締め切り、書類審査を経た後、4月3日に面接を実施し選抜、4月16日から支給開始する。
願書は民団各地方本部・支部および本国事務所に備えられている。
こちらからもダウンロードが可能(pdf形式です)
問い合わせは民団中央本部文教局(℡03・3454・4615)または民団本国事務所(ソウル℡02・734・1164)まで。
ソウル五輪と「在日後援会」
1981年9月30日、バーデンバーデンでのIOC総会で、ソウル市が名古屋市を破って88年五輪開催地に決定。民団では直ちに「在日韓国人後援会」(李煕健会長)を結成し、全団的な募金運動を展開した。
植民地による収奪と韓国戦争による廃墟から「よくぞここまで蘇った」と祖国への思い入れが強かった1世世代を中心に、全国津々浦々の団員から寄せられた誠金は100億円。韓国での一般募金額としても過去最高額を記録した。
中には、「つらい過去からすばらしく発展した隣の韓国での五輪成功を」と日本人からも寄せられた。また、在日大韓婦人会では「オリンピックを開催する韓国にきれいなトイレを」と、一日10円募金を展開し、韓国の観光地やソウル五輪会場などに固定式・移動式水洗トイレを建設した。
国民体育振興公団はソウル五輪の翌年4月に設立され、90年に五輪の成功的な開催を記念し、大会遺産を効率的に活用するために宿泊施設などを備えたソウルオリンピックパークテルを建設した。この施設をはじめ、競輪、競艇、スポーツTOTOくじなどで安定した国民体育振興基金が蓄えられてきた。
(2010.3.10 民団新聞)