掲載日 : [2010-03-17] 照会数 : 7101
学びあう韓日鮮明に 韓国躍進契機に関心高まる
「ゼロサム的論議超え」
電子政府、「G20」なども連携
日本では、バンクーバー冬季五輪での韓国選手の活躍(金6、銀6、銅2獲得で総合5位)を契機に、スポーツだけでなく経済・外交分野などでも「韓国から学ぼう」との論説・記事などが複数の全国紙や雑誌に掲載され注目された。これに対し韓国の有力紙・識者らは、「韓国はまだ日本から学ぶことが多い」と主張する。日本による韓国強制併合100年の今年、大変化をとげる世界、アジアのなかで、両国・国民が単なる相互関心の域を超え、未来志向の新しい韓日関係の構築へ、互いに積極的に学びあうべきだとの声が聞こえてくる。
主要紙の社説も
日本の重家俊範駐韓大使は10日、ソウルでの韓国国防研究院(KIDA)主催の国防フォーラムで、韓国の迅速な経済回復やアラブ首長国連邦(UAE)での原子力発電所建設・運転受注、バンクーバー冬季五輪での活躍などを機に、日本では韓国から多くのことを学ぶべきではないかとの論議が活発に進められていると紹介した。
ちなみに、日本経済新聞は4日付社説「世界に躍進する韓国企業に学ぼう」で「韓国勢の強さを謙虚に受け止め、学ぶべきものは学ぶ必要があるのではないか」とし、韓国企業の強みに言及。同時に「産業構造が似通う日韓の企業提携も課題だ。日韓の民間レベルでの連携や協力が進めば、停滞する日韓の自由貿易協定(FTA)交渉を促すことにもなろう」と提言している。
重家大使は、「韓日併合100年を迎えた今年は韓日関係が非常に重要な年で、未来に向かって両国関係の新たな進展を遂げる年にしたい」と表明、「さまざまな分野での協力強化に向け努力を傾けていかなければならない。両国がゼロサム的な論議を超え、冷静に分析し、共同作業を行うことで得られる利益がはるかに多く、協力関係を拡大することが両国にとって共通の利益だ」と強調した。
今年11月にソウルで開催される第5回主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)について、重家大使は「G20を通じ、先進国と新興国の経済政策を調整していく上で、韓国のリーダーシップに期待している」と表明。「G20」と続いて横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の成功のための緊密な連携にも期待した。
両国は、近く電子政府の協力と技術交流に関する了解覚書(MOU)も締結することになっている。
さる2月に訪韓した岡田克也外相は韓日外相会談後の記者会見(11日)で、今年が「併合100年」に当たることを踏まえ、「併合された側、痛みを覚える被害者の気持ちを決して忘れてはならない」と表明。「未来志向」の両国関係の発展・強化を確認した。鳩山由紀夫首相も1月の施政方針演説で「過去の負の歴史に目を背けることなく、これからの100年を見据え、真に未来志向の友好関係を強化していく」と表明している。
李明博大統領もこの間、未来志向的韓日新関係の構築を提唱している。今月1日の第91周年3・1節記念式典では、3・1独立宣言書の「寛容と包容の精神」を継承し、「過去にとらわれず、人類共栄の新たな未来を開拓していかなければならない」とあらためて強調している。
韓国では、かねてから「日本の○○に学ぼう」という論や記事が日常的にたくさんあるが、今回の「韓国に学ぼう」との日本の新聞論調や報道と関連して、「もっと日本に学ばなければならい」との提言が少なくない。
朝鮮日報の6日付社説「日本は『韓国に学べ』というが」は「昨年、韓国は日本を上回る貿易黒字となったが、対日貿易では270億㌦の赤字を出した。輸出品に使用する核心部品・素材の大半を日本から購入しているためだ」と指摘。「真の克日のためには、まだ日本から学ばねばならないものが多い」と強調している。
新関係築く好機
韓日両国は、アジアの中で最も進んだ民主主義国であり、人権・平和・市場経済といった基本的価値観を共有する隣国である。互いに第2、第3の主要な貿易相手国であるのみならず、両国市民の往来は年間500万人に迫る。主要な地域が一日生活圏で結ばれており、市民社会の交流と進化は、生活様式の面でも両国をいっそう「近い国」にしつつある。
東アジアの平和と安定・発展のためにも、未来志向のよりよい韓日関係の構築へ、政治・経済・民間交流をさらに増進・拡大し、互いにもっと学びあい、知ることを通じ、ステレオタイプの歴史・隣国認識から脱却し、相互理解と協力を深めていくことが求められている。
(2010.3.17 民団新聞)