掲載日 : [2010-03-31] 照会数 : 5917
<布帳馬車>「息子なんぞマグロ船に売り飛ばす」!?
振り込め詐欺グループの「キング」と呼ばれた男に懲役20年‐このテレビ報道をきっかけに、居酒屋で馬鹿話に興じていた連中が韓国人と日本人のどっちが振り込め詐欺に引っかかりやすいか、《比較社会文化学的考察》を披瀝し始めた。
韓国にとって外来種の新手犯罪は、「電話詐欺」「ボイス・フィッシング」と呼ばれて重大な社会問題になっている。ともに《なりすまし》が主流でも、日本では子どもや孫、韓国では警察官・銀行員・宅配業者などを装う手口が多い。早期留学ブームを反映し、留学中の子どもを誘拐したと見せかけ身代金を要求する事例も急増中だ。
ああでもあり、こうでもないの論議が煮詰まって、日本よりはるかに家族・肉親の情が濃い韓国で、なぜ逆に、子や孫のなりすまし詐欺が少ないか、に焦点が絞られた。で、韓国人は親や子にしょっちゅう安否を問う「問安電話」をかけ合うなどコミュニケーションが密なだけに、肉親になりすますのは難しい、という結論に落ち着いた。
以前、「オレは絶対、そんな詐欺にひっかからん。できの悪い息子なんぞ煮るなり焼くなり勝手にしろ、マグロ船に売り飛ばしてもかまわん、と言ってやる」と啖呵を切ったことのある御仁が最後に沈黙を破った。「実はオレもやられた」。一斉に注がれた好奇の視線に「だって、息子の泣き声にそっくりだったんだよ」。
「お前ってけっこう愛情深いね。だったら親父の権威ばかり張らずに、息子と素直に対話したら? それができない罪悪感が落とし穴だったのさ」。こう言い募った呑み助たちはこれで当分、酒の肴にはこまらない、とほくそえんだ。(P)
(2010.3.31 民団新聞)