掲載日 : [2010-03-31] 照会数 : 8300
「建国幻のフィルム」歴博で常設展示
[ 「建国幻のフィルム」を放映しているコーナー ]
「昭和」の在日に視点…第6展示室「現代」
【千葉】国立歴史民俗博物館(歴博、千葉県佐倉市)に「現代」をテーマとする第6展示室がリニューアルオープンした。1931年の「戦争の時代」から敗戦・占領、高度経済成長時代の1970年代までを扱う。解放直後の在日同胞に関する貴重な記録である「建国幻のフィルム」も常設展示されている。
在日韓人歴史資料館も協力
「建国幻のフィルム」には、解放直後の建国生の学校生活や進駐軍のMP、大阪中之島公会堂で開かれた解放2周年記念朝鮮陸上競技、第2回解放記念式典の模様(1947年)などが収められている。05年9月、建国校友会の事務所で偶然、発見された。
建国60周年を記念して学校関係者向けに映像の編集を担当した同校卒業生の高仁鳳さんが、歴博担当者の依頼を受けて4分32秒のダイジェスト版をつくった。映像はタッチパネルに触れて見る方式。
担当の原山浩介助教授は、「朝鮮半島の南北分断が決定的になる前の在日朝鮮人の姿が映像として残っていたことにびっくりした。特に建国中学と朝鮮中学が合同で体育祭を開いていることが興味深い。日本の戦後を考えるうえで重要なターニングポイント」と話している。
「建国幻のフィルム」を常設展示しているのはサンフランシスコ平和条約発効までの時期を扱った「戦後の生活革命‐占領下の生活」コーナー。隣にはジオラマ(復元模型)で闇市・露天を実物大で再現している。
第6展示室は「戦争と平和」、「戦後の生活革命」の大きく2つのゾーンで構成。16日にリニューアルオープンしたばかり。約700平方㍍の空間を利用して復元模型やレプリカなど500点の資料を並べている。解放前の黄海道から東京までの切符(23円10銭)、朝鮮名が消された通信簿(複製)や協和会会員証などは、在日韓人歴史資料館(姜徳相館長、韓国中央会館別館)が貸与した。
展示にあたっては一方の視点だけに偏らず、広くアジアという視点で日本史を位置づけているのが特徴。3・1独立運動を扱ったコーナーでは、柳宗悦や浅川巧の人物像も紹介している。また、「被爆者と平和への願い」では外国人被爆者にも目配りしている。ただし、歴史的な評価で対立しやすい政治や軍事的な事象には慎重な姿勢が目立つ。
このほかにも旧石器時代から昭和初期までを時代別に5つの展示室で紹介している。広報担当者によれば、リニューアル後の入館者は約3、4割アップしたという。
(2010.3.31 民団新聞)