掲載日 : [2010-03-31] 照会数 : 7306
認知症予防に活路補助金削減カバー
[ スタッフの指導のもと「指先運動」に励むお年寄りたち(民団八尾支部) ]
民団八尾支部「街かどデイハウス」
【大阪】大阪府が昨年から「街かどデイハウス」支援事業に対する補助金を半減したことで、実施主体の民団各支部は運営に苦慮している。こうしたなか、「街かどデイハウス‐ふれあいの郷・無窮花」を運営している民団八尾支部(朴清支団長)は、新たな介護予防支援に取り組むことで、財政ダメージを最小限に食い止めている。
専従者2人が研修
「街かどデイハウス」は介護保険の要介護認定で「非該当」と判定された65歳以上の比較的元気な高齢者が対象。住み慣れた地域で介護予防、自立支援のためのサービスを提供している。大阪府と市町村は折半で補助金を支給し、運営を支えてきた。
ところが、自治体の厳しい財政状況から、年間600万円だった基本補助が、昨年から300万円に半減された。運営費用の捻出に苦慮していたところ、八尾市の担当部局のスタッフからアドバイスがあり、運動機能の向上、認知症予防、口腔機能向上活動といった介護予防支援に取り組むようになった。
八尾市から派遣された専門スタッフの指導のもと、毎週水曜日に運動機能向上プログラム、火・金曜日は認知症予防の取り組み、口腔機能向上は毎日実施している。それぞれの介護予防事業につく補助金は1カ月平均22万円。年間では250万円ほどになる。実施にあたっては許玉姫事務部長(46)とボランティアスタッフで介護ヘルパー1級資格者の具愛姫さん(57)が事前に研修を受けた。
認知症ケアは、両手を前に出して小指と親指を交互に出す「指先運動」や膝を交互に叩く「木魚運動」などを繰り返す。運動機能向上では、エアロビクスや筋力アップトレーニングに励む。
初めこそ「運動はしない」と抵抗したお年寄りたちも、効果を実感してからは進んで取り組むようになった。終わると、いつものとおり花札を手におしゃべりを楽しみ、カラオケに興じている。許事務部長は、「3カ月に1回は市に報告書を提出しなければならず、大変な作業ですが、オモニたちも、民団支部の役に立つならばと、積極的に認知症予防や運動機能の向上に参加してくれています。みなさんの協力を得て、なんとか不足分の300万円を補えるようにと頑張っています」と語った。
具さんは、「街かどデイハウスを実施している支部で、介護予防支援事業のノウハウに関心のある人には説明にうかがいます」と話している。
(2010.3.31 民団新聞)