掲載日 : [2003-05-14] 照会数 : 3717
韓国、「戸主制廃止」 民法改正法案国会に提出(03.5.14)
政府…父姓強制条項など削除へ
池銀姫女性部長官は6日の国務会議(盧武鉉大統領主宰)で、「民法上の戸主関連規定や、子供が父親の姓を必ず受け継がなければならず、離婚後も実の父の戸籍に入籍しなければならないという強制条項の削除を骨子とした民法改正案を、5月中に議員立法の形で発議する予定」と明らかにした。
同時に池長官は「国民世論を聞き、法改正案をまとめなければならないため、関連部処と市民団体が参加する企画団が必要」と報告。政府は女性部、法務部、行政自治部、保健福祉部、文化部、国政広報処、国家人権委員会、市民団体が参加する「戸主制廃止推進企画団」を今月中に構成、盧大統領の大統領選挙時の公約だった戸主制度の廃止を本格的に進めることにした。
女性部では、民法の改正のほか、最高裁判所とも協議し、戸主制の廃止以後、戸籍編成をどのようにするかに関する研究を進め、男女に平等な身分登録制を早期に確定したいとしている。女性部は、推進企画団で全体的な調整役を担当し、法務部、法制処は民法改正に関する法律検討作業を、国政広報処と市民団体は世論調査と反対世論の説得作業を担当する。
国務会議で李滄東文化部長官は「戸主制の廃止に反対する主体が文化部の所属団体であるので、彼らの説得のための対話窓口は文化部になる見通し」と、企画団への参加意思を明らかにし、盧大統領は「そうするように」と指示した。
康錦実法務部長官は「戸主制の廃止は、法務部の検討を経て実現可能だが、姓をそのようにする(子供の苗字を両親が話し合って決めること)ことについては自信がない」と表明した。これに対し池長官は「父系の姓の強制条項を廃止しても、外国の場合、慣例的に90%以上が父親の姓を使用しているため、問題になることはない」と述べた。
女性部は先月4日、盧大統領への業務報告で「戸主制度は▽父系血統だけを認めて女性の不公平な地位を招き▽息子選好思想を助長、過多な男児出産で性のバランスを壊すだけでなく▽実父の名字を強いるなど離婚・再婚家族に様々な問題を招いている」と指摘、その廃止推進を強く建議していた。
「戸主制の廃止」は、離婚・再婚家庭や母子家庭の子供が実の父の姓を受け継がなければならないなどの問題を解決し男女平等権を保障する、と60年代から女性団体が粘り強く提起、法曹界も賛同してきた。この間、3度にわたる民法改正があったが、戸主制による不公平条項はそのまま残された。
夫婦と子供中心の核家族が全人口の70%を上回る一方で、女性の社会参加率が急速に高まり、離婚率が25%を超す今日、韓国社会の家族の現実は、父系・男性中心の戸主制の存続を困難にさせている。
儒林団体(儒学者の集い)と一部の保守的な中高年層は「儒教的社会秩序の根幹を揺るがす」「既存家族制度に対する全面的な否定につながる」と激しく反対してきた。
(2003.5.14 民団新聞)