掲載日 : [2010-04-28] 照会数 : 4923
<寄稿>核安保サミット成果と課題 金泰宇
[ 第1回核安保サミットでの李明博(左)、オバマの両大統領
]
金泰宇 韓国国防研究院 責任研究委員
世界進出の寄与多大
韓国開催 北核解決へ好機にも
4月13、14日にワシントンで開催された第1回核安全保障サミットは、核テロ及び核物質の不法取引を遮断するための12項目の声明を採択し、閉幕した。李明博大統領をはじめ47カ国の首脳や、国連、国際原子力機構(IAEA)、EUなどの代表が参席した今会議は最大規模の首脳会議であったが、核問題と関連した初のサミットという点で関心を集めた。
韓国の貢献評価
韓国はこの会議で少なくとも3つの成果を上げた。
第1に、北核の解決に有利な基盤が造成されたと見ることができよう。たとえ北核問題が正式議題として取りあげられなかったにせよ、会議が追求する制度的装置が、結局、北韓のような違反国の危険な核取引と核拡散を防ぐためのものだという点を考慮すれば、47カ国の主要国が出した声は北韓当局に痛烈なメッセージとなるものであり、北韓の「通米封南」政策を無策にさせることに寄与するのは明らかだ。
第2に、韓国原子力産業の発展にも寄与するであろう。韓国は過去30年間、原発事故がゼロで稼働率93%という模範的原発国に発展し、核拡散防止条約(NPT)体制を徹底順守する透明な国家としての位置を確立している。
全世界原発の96%を占める国々が出席した今会議は、韓国原発技術の優秀性と核の透明性を知らしめる広報の舞台となり、2014年に満了する韓米原子力協定改正のための協議にも肯定的効果を及ぼすものと期待される。
第3に、韓国が第2回会議の開催国に選ばれたことは、国の品格を高めるもう一つの快挙であった。これは、原発国としての韓国の優秀性、核不拡散体制に対する韓国の自発的協力、世界の核問題における北核問題の重要性などを国際社会が認めた結果であり、李明博、オバマ大統領間の厚い信頼と協調関係により実現した結実であるともいえる。
しかし、残された課題もおろそかにはできない。まず、2年後に開かれる第2回会議を成功的に開催するうえで、少しの過ちも許されず、これを契機に北核解決における韓国の主導的役割をいっそう高めなければならない。
第2回会議が実質的な北韓の非核化を誘導できるよう、国際社会を対象に北核廃棄に対する共感帯を広げるなど、核外交力をさらに強化しなければならないだろう。もちろん、その間に北核問題に進展があり、北韓が核放棄の決断を下すとすれば、第2回会議は北韓代表も参席する中で開かれる最大の祝賀行事になることもありうる。
一方、「核兵器のない世界」を追求する過程で、当面の安保国益を考慮する態度が欠けてはならないだろう。オバマ大統領は候補者の時に、ブッシュ政権の一方主義的対外政策と攻撃的核戦略を批判しながらソフトパワーを強調し、就任後は「核兵器のない世界」を主唱し、ノーベル平和賞まで受賞した。
こうした脈絡から見ると、4月8日の米ロ戦略核軍縮条約の署名、「核兵器役割の縮小および削減」を骨子とした「核態勢の見直し」(NPR)の発表、史上初の核安保サミットなどは、「核兵器のない世界」という遠大な目標を志向するオバマイニシアティブの序幕であり、このための初議題が「核物質の防護を通じた核テロの根源的封鎖」であった。
韓国もこのイニシアティブに参列するのはもちろんだが、北核の脅威に直面する我々の特殊性を考慮するとき、同盟国が提供する拡大抑制と核の傘の重要性を見逃すことはできない。
ブッシュ大統領のNPRはあまりに攻撃的だという理由で非難されたが、それに比例して同盟国に対する核保護においては断固たる姿勢を示していた。
しかし、オバマ政権のNPRではそのような内容が削除されたか、表現の弱まった部分があるという点に留意する必要がある。例えば、同盟国が核攻撃を受けた場合、強力な核報復を行うという意志を込めたブッシュ政権のそれとは異なり、今回のNPRは同盟関係、米軍の前進配置、安保公約、ミサイル防御などの非核要因を抑制手段の中心として強調している。
これが直ちに核の傘の弱化を意味するものではないが、韓国としては、オバマ政権がみずから核安保のイニシアティブに埋没し、東アジア同盟国に提供する核の傘の重要性を見過ごすことのないよう、緊密な対米戦略対話を持続的に進めなければならないだろう。
(2010.4.28 民団新聞)