掲載日 : [2010-05-19] 照会数 : 8814
生みの親の歴史学ぶ 東京韓学「民団特別授業」
[ 民団史と学校設立の経緯を説明する鄭夢周事務総長 ]
東京韓国学校(呉公太理事長、金明植校長)は15日、同校理事会「特別講演会」を開いた。同校では毎年、外部から講師を招請して特講を実施しているが、民団の歴史について特別授業を行ったのはこれが初めて。講師は同校の卒業生で、現在は民団中央本部事務総長を務める鄭夢周さん。中・高校生410人を対象に民団と同校の歴史について講義した。
中・高生410人「初めて知った」
同校はもともと、民団中央本部が同本部敷地内内に設立した直属の民族学校。1953年10月の民団中央大会の決議に基づき、設立委員会会長に当時の駐日代表部代表の金溶植公使、副会長には金載華団長が就任した。開校は翌54年4月26日のことだった。
こうした歴史も、開校から50年以上も過ぎたいまは、風化しつつあるのが現状。在籍生徒の多くが本国からの駐在商社員の子女で占められている。「学び舎のルーツである民団の歴史をしっかり学んでほしい」(金明植校長)との願いを込めた。
この日は土曜日とあって正規の学科はなく、本来ならば演劇や音楽、スポーツなどの特別活動、HRに充てられる時間。はじめに民団60年の歴史をコンパクトにまとめたDVD「在日韓国民団」を鑑賞し、さらに特別映像で学校の沿革をたどった。
この後、鄭事務総長が民団のこれまでの活動と果たしてきた役割、これから目指すものなどについて約45分間にわたって語った。日本のプロ野球や韓国の経済界で活躍する在日同胞の名前が出ると、会場から驚きと、どよめきが起こった。
歴史が好きという朴賢洙君(在日2世、高2)は、「この学校ができた50年前の話がとても興味深かった」という。同じく、安梨那さん(在日3世、高2)も、「DVDを見て、この学校の歴史の深さを再認識した」と語った。
李秀華さん(在日3世、高2)は、「民団と私たちの学校がお互い、助け合いながら歩んできたことを初めて知った」と感慨深げな表情。高愚鉉君(高2)は、「在日の歴史は本で読んで理解していたつもりだけれど、日本に来てからの辛苦がこれほどのものだったとは」と、びっくりしていた。
民団中央本部では毎年、同校に教材として民団中央民族教育委員会企画の『歴史教科書 在日コリアンの歴史』(明石書店刊)を届けている。同校は中学・高校1年生全員に配布している。
(2010.5.19 民団新聞)