10年目のオリニジャンボリー
8月1〜5日
民団主催の「2010在日同胞・オリニジャンボリー」が8月1日から4泊5日間、韓国で開催される。今回が第6回目。2001年から始まった同事業は、全国の同胞オリニ(子ども)が韓国で一堂に会し、仲間とふれあい、母国文化と肌で接する、生きた民族教育の場として定着した。2年ぶりの開催を待ちわびているオリニと保護者も多く、問い合わせが殺到している。参加申し込みの締め切りは6月14日だが、早めの申請が無難だ。
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夏はみんなで輝こう
絆深め きっと大きく成長
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別れを惜しんで涙ぐむオリニの姿も |
日本各地の在日同胞オリニが母国、韓国に集い、民族的な自負心や本国小学生との交流を育む同事業は2年ごとの開催だ。今年は前回と同じく、京畿道抱川市のベアースタウンリゾートを宿舎に、8月1日から実施される。
同事業は過去5回開催された。これまで、参加したオリニたちはさまざまなイベントと、同じ在日同胞や本国の小学生との出会いを通じて、韓国人としてのプライドと仲間との絆を深め、大きな成長を遂げている。
6回目となる今年は、小学校4年から6年までの在日同胞オリニ(日本籍含む)350人と、保護者50人、オリニたちの世話をするリーダーや運営スタッフ合わせて550人の規模になる見込みだ。
一大イベントとしてすっかり定着していることもあって、人気も高く、民団各地本部でも、次世代育成事業の一環として参加者募集に力を注いでいる。
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チマ・チョゴリを着てクンジョル(お辞儀)の作法を教わった |
民団の地方本部によっては、組織の全力を挙げて参加者を募集、独自の補助でオリニの参加費負担額を軽減するなど、大々的な措置を執るケースもある。これは、同事業による民族教育の効果の大きさを痛感しているからだ。
今回の企画は初日のウェルカム・パーティーをはじめ、素顔の韓国に触れる「ソウル市内スタンプラリー」、韓国の小学校1日体験入学、テーマパークのロッテワールド観覧をはじめ盛りだくさん。4日目の夜に行うキッズ大パーティーではキャンプファイヤーやゲーム、踊りなどを通じて全参加者がひとつになる。
これまでのジャンボリーとほぼ同じ企画だが、運営委員会側では特に、オリニたちにゆとりを持たせたスケジュール調整を心がけている。
保護者企画も充実させ復活
また、保護者企画が復活することに。初日の仁川空港到着から最終日の出発当日まで、基本的にオリニと別日程だが、ガイダンス、フィールドワーク、フォーラムを通じて韓国文化の体験や、民族教育についての講演を聞くほか、子育てなどに関する意見交換を行う。
普段、知り合う機会の少ない同胞の親どうしのネットワーク構築の場ともなる。
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自分を見つける場に
貴重な経験を積み重ねて
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みんな仲間だ オリニとリーダー500人が一体となって踊り歌った |
「在日同胞オリニジャンボリー」は、夏休みを活用して全国に散在するオリニが一堂に会し、同世代のオリニとの交流を図ろうと2001年に初めて開催された。
オリニたちばかりでなく、保護者や運営に当たる同胞青年・学生を含めて、民族的に生きるすばらしさを改めて知らしめるなど大きな成果を残してきた。
北国の友にも参加しやすく
01年の初開催で予想以上の好評を得たことから、各地方からも「毎年開催を」との声が寄せられた。02年に連続開催したが、03年はSARS(重症急性呼吸器症候群)問題のため、やむなく中止した経緯がある。
この後、財政的な事情や運営面での消耗と地方本部が毎年独自に開催しているオリニサマーキャンプ(林間・臨海学校)との兼ね合いを考慮し、04年からは隔年開催が定着した。
また、日程も8月上旬にしたことで、夏休み期間が早く終わる東北・北海道のオリニにも参加の道を開いた。
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肩を組んで踊って民族の絆をつちかった |
このイベントに対し、韓国の教育科学部、日本の文部科学省や自治体などが後援している。
祖父母の国を訪れ、全国のオリニと本国のオリニ、世話をする同じ3〜4世のリーダーたちとともに、生で母国と接しあうことで、貴重な経験を積み、在日韓国人としての意識を養っている。
また、保護者にとっては、ジャンボリーに参加したわが子が、日本で堂々と民族名を使い、そして愛国歌を自信満々に歌うなど、たくましく成長して帰ってきた姿は何よりもの喜びだ。
自分のツールをしっかり知ったことで、勉学に励むようになったオリニも多い。
夏休みを利用したオリニたちの大イベントを通じ、ルーツを見つけ、民族文化を体感し、出会った大勢の仲間との絆を深めていくことだろう。
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初期の参加者はもう20歳代
リーダーに育った
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最初の夕食はカルビ。仲間と囲む食卓に大喜びのオリニたち |
「88ソウル五輪世代」と言われる第1回、第2回の参加オリニたちが、20歳を迎えている。ちょうどジャンボリーに参加したときのリーダーたちと同年代になった。このオリニジャンボリー卒業生がこの間、地方でのオリニ事業を経て、学生会や青年会などに参加してきている。
幼い頃の思い出を胸に、「恩返し」として今年、リーダーやスタッフとして志願する青年・学生たちが多く予想される。次世代育成が叫ばれて久しい民団だが、10年前に植えた種がすくすくと育ち、今、その実を結ぼうとしている。
とくに民団は、2月の定期中央委員会で、今年から中期的な視野で次世代育成運動を本格的に推進していくことを決めている。
10年目を迎えたオリニジャンボリーの過去5回の参加オリニは延べ1568人。また、運営やリーダーとして携わった青年・学生は約600人を数える。
その青年・学生たちを一人でも多く発掘していくことが、次世代育成運動推進にも大きな効果を発揮するだろう。
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リーダーらボランティア募集
今回のオリニジャンボリーでオリニたちの世話をするリーダーと運営スタッフのボランティアを募集している。
リーダーは開催期間中、オリニの生活指導と世話を担う、オンニ、オッパ、ヒョン、ヌナ(兄と姉)たちで、8月1日から4泊5日間、オリニたちと寝食をともにし、オリニたちと最も触れ合う立場にある。
また、運営スタッフは、▼保健・救護▼企画・運営▼組織・誘導などの役割を担うが、オリニの健康上の異変に留意し、必要に応じた処置を施す「保健・救護」のボランティアを中心に募集している。特に、医師、看護師、保健婦師、救急救命士等の資格保持者は歓迎。
募集人数はオリニリーダーが100人。運営スタッフは50人。
ともに20歳〜35歳までの在日同胞青年(日本籍者含む)で、7月11日(日)に民団中央本部会館で行う「オリニリーダー・運営スタッフ事前研修会」に参加できることが条件になっている。
ボランティアの応募に関する詳細は、オリニジャンボリー公式サイト(
http://www.mindan.org/2010eorinij)を。
(2010.5.19 民団新聞)