掲載日 : [2010-05-19] 照会数 : 8426
魚雷攻撃による沈没 「北の関与」集中分析
「天安」国際合同調査団 明日にも公式に発表
3月26日に西海・白 島の北方限界線(NLL)近くで起きた海軍哨戒艦「天安」(1220㌧)の沈没原因を究明している軍・民合同調査団は、沈没原因となった水中での爆発物は「魚雷」とほぼ断定した。同地域での韓国艦攻撃は北韓以外には考えにくく、政府は、「北韓が関与した」との見方を固めている。調査結果は20日にも公式発表される。調査結果と関連し、李明博大統領は今月下旬、国民向け談話の形で立場を明らかにする。
二つに割れて沈没した「天安」の切断面や煙突および沈没海域の海底からは、魚雷や機雷に使用される高性能爆薬の成分「RDX」と魚雷の外皮にも使われるアルミニウム・マグネシウム合金の破片が複数見つかっている。RDXは通常のTNT火薬より威力が強く、機雷よりも魚雷によく用いられる。
米、英、豪、スウェーデンなどの専門家も加わった合同調査団は、これまでに、使用された可能性がある魚雷を、複数の種類に絞り込んだ。同時に、北韓による魚雷攻撃であることを裏付ける侵入経路と潜水艦・潜水艇の移動状況、通信傍受の内容などを精密に分析しているという。
李大統領は、調査結果発表で沈没事件と北韓の関与が強く示された場合、談話で断固とした対応姿勢を示すとともに、軍と国民に安保態勢を引き締めるよう求めるという。また、米中日露の4カ国と国連などの国際機関に協力を求め、共同で対応する方針も強調するとみられる。
李大統領は、「天安」の爆発・沈没を受けて新設した「国家安保総括点検会議」(議長=李相禹・国防先進化推進委員長)の初会合を13日開催し、「外部の脅威に対し原点に立ち返って再評価を行う必要がある」と強調。盧武鉉前政権時の2005年に樹立された中長期戦力計画「国防改革2020」を見直し、北韓の潜水艇や特殊部隊などの侵入などに備えた安保体制や危機管理体制を構築するよう指示している。「国防改革2020」は、2020年ごろには北韓の脅威が薄れ、周辺国の潜在的な脅威が次第に浮上するという前提の下に樹立された。
李大統領は4日に主宰した全軍主要指揮官会議で、「『天安』沈没の原因が明らかになれば結果を世界に公表し、その責任について明確かつ断固たる措置を取る」と改めて表明した。また、「天安」沈没に関する軍の報告遅延などを厳しく指摘するとともに、直ちに安保態勢の全面的な再点検に着手すべきだと強調。安保態勢を総体的に点検し対応策を講じる大統領直属の国家安保総括点検機関を期限付きで直ちに設置する方針を明らかにした。
(2010.5.19 民団新聞)