掲載日 : [2010-06-23] 照会数 : 5726
<シベリア特措法>給付金にまた国籍要件 韓国、中国、台湾の元抑留者を除外
第2次大戦直後の9月2日以降、旧ソ連によってシベリアやモンゴルで強制労働させられた元抑留者に特別給付金(25〜150万円)を支給する特別措置法が16日、衆議院本会議で可決、成立した。救済の対象は日本に帰還し、法が施行された17日現在、日本国籍を有する者。韓国や中国、台湾の元抑留者は救済の対象から外された。
シベリア抑留韓国人は少なくとも3000人。韓国政府国家記録院がロシアから入手した捕虜名簿で確認している。韓国に帰還した生存者は「シベリア朔風(さくふう)会」(李炳柱会長)を結成。03年には日本政府を相手取って強制労働に対する未払い金の支払いと謝罪を求めて東京地裁に提訴した。
李会長は45年8月、当時暮らしていた中国東北部で旧日本軍への入隊を余儀なくされ、その直後に旧ソ連によって捕虜になった。抑留生活は3年4カ月に及んだ。
李会長は、「レンガ工場や道路工事現場などで奴隷のような重労働にこきつかわれた。黒パン350㌘とおかゆで延命していたが、零下40度の酷寒の地で迎えた初めての冬は餓死者と凍死者が続出した」と振り返った。帰国後も敵性国家で抑留されたことが足かせとなり、社会活動で不利益を被った。「加害者日本に対する怨恨と憤怒は抑えきれない」。
シベリア元抑留韓国人の国家補償の要求を支援してきた日本のシベリア抑留団体・全国抑留者補償協議会(全抑協)の関係者は、「韓国の仲間には心苦しい。彼らのために目の黒いうちになんとかしないといけない」と話している。
全抑協などは、今回支給対象外となった韓国、中国、台湾の元抑留者に対する補償、抑留の真相究明、遺骨収集、次世代への継承事業などの具体化を求めていく。
(2010.6.23 民団新聞)