地域では明暗も 全体は回復基調
在日韓国人信用組合協会(韓信協、洪采植会長)傘下7組合の総代会が6月中にそれぞれ開かれ、3月末決算業績(09年度)は、預金が前年比5・03%増の5913億9500万円、貸出金が2・42%増の4275億300万円だった。地域の民族金融機関として地道な営業を展開、不透明な経済状況の中で健闘した。出資配当を実施したのは4組合。
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あすか信用組合
過去最高の業務利益
あすか信用組合(李永植理事長)は25日、東京・新宿の本店で第44期通常総代会を開き、任期満了に伴う役員改選で李理事長を再選した。総代117人中102人(委任状46)が出席した。
09年度決算業績は、預金が1761億8104万円(前年同期比6・42%増)、貸出金が1243億1649万円(同5・80%増)で、預貸率は70・56%だった。自己資本比率は6・15%。純利益が3億7161万円で、出資配当は昨年と同じ1%。
李理事長は「09年度業績は、懸賞金付定期預金『ビッグチャンス』などの商品が好評で、預金高が前年比106億円増と大幅に伸びた。貸出金も取引先からの資金需要に応えながら前年比68億円増加した。厳しい状況の中で、業務利益は過去最高額の17億6300万円を達成した」と強調した。
今期はまだ不透明な状況が続くものと予想されることから、資産内容の健全化を図るため貸倒引当金7億6800万円を積み増すとともに、直接償却を実施しながら不良債権処理を積極的に推進した。
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信用組合広島商銀
出資配当2%に戻す
信用組合広島商銀(鄭義夫理事長)は18日、広島市内の本店で第49期通常総代会を開いた。総代120人全員(委任状55)が出席した。
09年度業績は、預金が1282億3452万円(前年同期比1・27%増)、貸出金が972億2993万円(同1・12%増)で、預貸率は75・82%。自己資本比率は5・51%。純利益は1億7962万円。
出資配当は昨年比1%増の2%に。昨年8月に松江支店を閉鎖し、本支店は15店に。
鄭理事長は「預金は『大輪定期』『年金定期』などの商品が好調で、前年度対比で16億円の増加となった。貸出金も小口融資や信保付融資などを推進し、前年比10億円増加した。円滑な資金繰り支援を積極的に行う一方、不良債権処理に対応するため、将来損失が懸念される債権に対して貸倒引当金5億8700万円の積み増しを実施した」と説明した。
資金運用に関しては、安全性を重視するという方針のもと、国債や社債を中心に運用した結果、期末残高が33億円にのぼった。
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中央商銀信用組合
経営不振 理事ら辞任
中央商銀信用組合(宋寅模理事長)は29日、横浜市内の本店で第3期通常総代会を開いた。総代120人中95人(委任状52)が出席。
09年度業績は、預金が851億1062万円(前年同期比13・97%減)、貸出金が571億2221万円(同12・21%減)で、預貸率は67・11%。損失は13億6032万円にのぼった。自己資本比率は4・26%。
宋理事長は「理事長に就任して半年間、3月決算を乗り越えるため、出資金集めに奔走した。その結果、出資金5億円、韓信協から4億円の支援を得ることができた。それでもなお、課題は山積している。同胞および地域社会の活性化のためには、総力を結集していく以外に道はない」と訴えた。
理事長および各理事は経営不振の責任をとって辞任した。
定款の一部変更が行われ、役員定数の理事「15人以上25人以内」が、「8人以上16人以内」に変更された。これを受けて8人の理事が選ばれ、後日、新理事長に日高明次常勤理事(52)が選任された。
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信用組合愛知商銀
預金・貸出とも伸ばす
信用組合愛知商銀(権東鉉理事長、本店・名古屋)は26日、名古屋市中村区の愛知韓国人会館で第57期通常総代会を開いた。総代125人中112人(委任状66)が出席した。
09年度決算業績は、預金が792億9532万円(前年同期比26・01%増)、貸出金が586億3083万円(同14・20%増)で、預貸率は73・94%。純利益は6億2749万円で、自己資本比率は5・78%。
権理事長は「4期連続の黒字決算となったが、当期未処理損失金が14億円超にのぼるため、配当は見送りとなった。経営基盤の強化および収益力の向上に努める」と抱負を述べた。
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九州幸銀信用組合
出資配当0・5%増
九州幸銀信用組合(呉龍夫理事長)は25日、福岡市内の本店で第54期通常総代会を開いた。総代123人中117人(委任状80)が出席した。
09年度決算業績は、預金660億5631万円(前年同期比22・9%増)、貸出金480億3987万円(同9・18%増)で、預貸率72・73%。自己資本比率は6・35%。
純利益は1億2452万円で、配当は、普通出資1・5%(前年比0・5%増)、優先出資1・5%。
呉理事長は「厳しい金融環境のもと、前年比で預金が123億円、貸出金が40億円と、ともに増加した。不良債権処理に1億円を計上した」と語った。
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あすなろ信用組合
経営健全化を本格推進
あすなろ信用組合(尹昌旭理事長、本店・松本)は28日、長野市内のホテルで第35期通常総代会を開いた。総代123人中92人(委任状46)が出席した。
3月末の決算は、預金額が372億1152万円(前年同期比0・59%増)、貸出金が293億1305万円(同2・56%減)で、預貸率は78・77%だった。自己資本比率は6・37%。
尹理事長は「不良債権処理費用が12億6000万円と大幅に増加したため、10億円を超す赤字決算となった。全信連から10億円の優先出資を受け入れるなど、進退を覚悟しながら本格的な経営健全化を進めていく」と強調した。
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信用組合岡山商銀
自己資本率8%維持
信用組合岡山商銀(李根善理事長)は18日、岡山市内の本店で第48期通常総代会を開いた。総代110人中89人(委任状26)が出席した。
今年3月末の決算は、預金が193億473万円(前年同期比5・47%増)、貸出金が128億5580万円(同3・02%減)で、預貸率は66・59%だった。
配当は昨年と同じく2%。純利益は6014万円で、自己資本比率は8・03%。
李理事長は「預金キャンペーンを展開した結果、30億円に近い新規を獲得することができた。1億円を経営基盤強化に積み立て、昨年に続き配当2%を実施する」と述べた。
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近畿産業信用組合
預金7千億円台に
近畿産業信用組合(大本崇博理事長、本店・大阪市)は25日、京都市内のホテルで第57期通常総代会を開いた。総代220人中192人(委任状82)が出席した。
09年度決算業績は、預金が7245億6098万円(前年同期比15・79%増)、貸出金が4077億1791万円(同11・64%増)で、預貸率は58・36%。純利益は36億531万円で、配当は2%。自己資本比率は10・51%。
大本理事長は「預金、貸出金ともに大幅に伸ばすことができた。『中小・零細企業を救う!』という使命をもって、1兆円体制をめざしたい」とあいさつした。
(2010.7.14 民団新聞)