掲載日 : [2010-07-28] 照会数 : 6911
伎楽伝来の地に碑 韓国人学者…明日香村と推定
[ 向原寺横に立つ碑 ]
【奈良】百済人味摩之(みまし)を介して7世紀に日本に伝わったとされる伎楽 (くれのうたまい)の記念碑が、「韓国文学を憶(おも)う会」(会長=儛李応寿・世宗大学校日語日文科教授、会員15人)など、韓日の文学・演劇関係者ら150人の見守るなか23日、明日香村豊浦の向原寺(こうげんじ)横でお披露目された。駐大阪総領事館からは鄭煥星副総領事が出席した。記念碑には広島産の自然石を利用。碑文には日本語とハングルで「伎楽伝来の地」と刻印されている。高さは1㍍30㌢、幅1㍍10㌢。地元明日香村の関義清村長は、「古代からの百済との交流をこれからも大事にしていきます」と挨拶した。
伎楽儛の伝来地は、聖徳太子が開設したとされる伎楽教習所がどこにあったかで意見が分かれている。これまでは奈良県桜井市内説が有力だったが、韓国の研究者団体「韓国文学を憶う会」の李教授は2年前から明日香村説を唱えていた。
向原寺は推古天皇が建設した日本最古の尼寺で、蘇我氏の氏寺だったとされる豊浦寺の後身。
雅楽になごり
伎楽儛は韓半島と日本を結ぶ演劇のルーツ。中国南部の仏教文化圏、呉国に由来する歌舞仮面劇で、行道(一種のパレード)と滑稽美を帯びた無言劇で構成される。聖徳太子が奨励したことで飛鳥時代から奈良時代にかけて寺院の法会などで盛んに上演された。鎌倉期には衰退したが、その伴奏の多くは雅楽のレパートリーに取り入れられており、「獅子舞」にもその痕跡をとどめている。
(2010.7.28 民団新聞)